原発事故を問う~チェルノブイリから,もんじゅへ~(岩波新書)
七沢 潔 著
目次
序章 もんじゅとチェルノブイリ 神話崩壊の年/重なる二つの事故像/共通点①──「想定外」の事故と対応の遅れ/共通点②──通報の遅れに始まる意図的情報操作/歴史の鏡 第1章 「パニックを回避せよ」 チェルノブイリ・事故と政治① 一 はがされた機密のベール 地球が被曝した/情報公開とソ連邦崩壊 二 「ありえない事故」の呪縛──運転員たちが語る「その時」 現実が見えない 三 遅れた避難──プリピャチ市民・四万五千人 無人都市/最初の報告書/待たされた千二百台のバス/ 「苦渋」の決断 四 キエフの長い二十日間 危機管理の焦点/風向きが変わった/メーデーの行進/ウクライナ共和国政府の立場/遅れたキエフ市民への警告/二度目の爆発の危機/パニックが始まった/地元と中央の軋轢①──情報公開/地元と中央の軋轢②──子どもたちの疎開/引き上げられた被曝許容線量/ 「原子の戦場」 第2章 隠された事故原因 チェルノブイリ・事故と政治② 一 運転員たちの汚名 傷ついた魂/再評価された事故原因/制御棒の構造的欠陥 二 〈原子炉の欠陥〉は、こうして隠された 二人の「巨人」/事故三日後の攻防/秘密の機関・中規模機械製作省/電力電化省の境遇/内部告発/死の淵の苦悶/政府事故調査委員会の報告書/共産党政治局会議/ 「老雄」の反撃/犠牲の子羊/ゴルバチョフの挫折 三 国際検討会議の舞台裏 共通の利害──ソ連とIAEA/レガソフの「名演説」/秘密の夕食会/米ソの「密談」/ジャトロフの怒り/晴らされぬ汚名/ 「英雄」たちの死/そして原子炉が残った 第3章 世界は事故をどう受け止めたか 一 原発見直しの波 原発事故に国境はない 二 脱原発への挑戦──スウェーデン 具体化したプロセス/原発廃止と労働組合/ 「電力価格急上昇」という衝撃/エネルギー多消費社会からの脱却/プロジェクト二○○○──省電力の実験/節電のジレンマ/代替エネルギーをめぐる苦悩/風力、太陽熱、そして天然ガス/延期される計画 三 「推進」からの「撤退」──ドイツ 揺れた原子力政策/社民党の政策転換/脱原発のシミュレーション/ベルリンの壁崩壊後の空白/旧東ドイツ・新原子力地帯構想 四 「もんじゅ」の国──日本 独自の道/東のはてなる国で/行きづまる新規立地/奥能登の土地攻防戦/国策破綻のつけ/つけこまれる「地方の窮状」/ 「もんじゅ」への道/プルトニウム利用計画への懸念/政治の不在 第4章 〈チェルノブイリ〉は終わっていない 一 汚染地帯に生きる 増え続けた避難民/ 「神経血管疲労」/IAEAへの不信感/急増する小児甲状腺がん 二 「グレーゾーン」の憂鬱──事故処理作業者六十万人のその後 人海戦術の果てに/炭鉱労働者たちの被曝/見直された被曝線量/家族の不安/カミカゼとゴキブリ──戦慄の黒鉛除去作戦 三 原子炉の骸のなかから 「石棺」のなかの科学者たち/ 「二回の爆発」の謎/あえて「核爆発」と呼ぶ心 あとがき
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