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石原吉郎詩文集(講談社文芸文庫) 

石原 吉郎  著

佐々木 幹郎  他
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価格 \1,540(税込)         

発行年月 2005年06月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 307p
大きさ 16
ジャンル 和書/人文科学/文学/日本文学
ISBN 9784061984097
商品コード 0105055103
NDC分類 918.68
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参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=0105055103

内容

憎むとは待つことだ
きりきりと音のするまで
待ちつくすことだ

詩とは「書くまい」とする衝動であり、詩の言葉は、沈黙を語るための言葉、沈黙するための言葉である――敗戦後、8年におよぶ苛酷な労働と飢餓のソ連徒刑体験は、被害者意識や告発をも超克した<沈黙の詩学>をもたらし、失語の一歩手前で踏みとどまろうとする意志は、思索的で静謐な詩の世界に強度を与えた。この単独者の稀有なる魂の軌跡を、詩、批評、ノートの三部構成でたどる。

石原吉郎
海が見たい、と私は切実に思った。私には、わたるべき海があった。そして、その海の最初の渚と私を、三千キロにわたる草原(ステップ)と凍土(ツンドラ)がへだてていた。望郷の想いをその渚へ、私は限らざるをえなかった。(中略)1949年夏カラガンダの刑務所で、号泣に近い思慕を海にかけたとき、海は私にとって、実在する最後の空間であり、その空間が石に変貌したとき、私は石に変貌せざるをえなかったのである。(中略)望郷のあてどをうしなったとき、陸は一挙に遠のき、海のみがその行手に残った。海であることにおいて、それはほとんどひとつの倫理となったのである。――<本文「望郷と海」より>

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