内容
本書は計算機を使って科学技術計算を行う場合に役に立つ、いわゆる「数値計算のつぼ」を懇切ていねいに解説したものである。執筆者は単なる傍観者としての数値計算の経験者や計算機の利用者ではない。数値計算を自己の研究教育の対象とし、数値計算ライブラリの構築と整備をライフワークとする複数の専門家たちである。その各々が自ら最も得意とする分野を担当し、その薀蓄を思う存分披瀝している。読者は類書に見られない深い認識と強烈な迫力をそこに見出されるに違いない。またこの種の書物にありがちな理系一辺倒的な無味乾燥を避け、随所に理解を深め、共感を呼ぶ文言を配して読書に潤いを加えるようつとめた。なにはともあれこの新しい企画を実現した本書は、大学あるいは大学院の学生の教科書として好適であるばかりでなく、数値計算に関心のある、あらゆる人士にとって必読の書物であると確信する。