内容
18世紀から19世紀初頭にかけて、イエーナやベルリンを中心に花開いた、ドイツ観念論と呼ばれ、またドイツ・ロマン派と呼ばれる哲学・芸術を中心とした一大潮流の只中にあって、ゾルガー哲学はシェリングの同一哲学からヘーゲル弁証法へと至る本流として捉えられる。本書はベルリン大学での美学講義録で、彼の死後10年を経て、ハイゼが編纂した。ゾルガー美学の独自性と特質は、美と芸術の経験に基く的確で鋭利な現象記述にあり、単なる体系図式を超えて、「美のはかなさ」ないし「美の悲劇性」と「イロニー」という独得の概念によって今日でも独自性を失わない。