内容

目次

<b>まえがき</b> メルヘンという言葉が愛される理由 ムードと実体の間の距離 メルヘンという言葉の故郷 本書の前身である『メルヘン案内』について 文字の世界ばかりではない <b>第1章　メルヘンとは何か</b> 桃太郎も赤ずきんもマッチ売りの少女もメルヘンの仲間 さまざまな訳語 なぜメルヘンが克服されなくてはならないのか 『白雪姫』の日本語版絵物語の点検 美しい絵本の功罪 あたらしいものほど良いという錯覚 メルヘン再考の時点 <b>第2章　合理主義とファンタジー</b> メルヘンという言葉のつかわれ方 メルヘンという言葉の歴史 騎士ドン・シルビオの冒険 ヴィーラントとシェイクスピア 合理的・人間的に解釈される奇蹟 ふたたびメルヘンという言葉について <b>第3章　道徳的教訓とたわむれ</b> 民間メルヘンの最初の収集者 『リヒルデ』のあらすじ 合理化されたモチーフと寛容の道徳 たわむれ心——ゲーテとメルヘン 未来のメルヘン——世紀末の幻影 <b>第4章　世界観になたメルヘン</b> ロマン主義の時代 ティーク——ロマン主義最初のメルヘン作家 金髪のエックベルトのメルヘン ロマン主義を象徴する『青い花』 『ヒアシンスと薔薇の花のメルヘン』 アイヒェンドルフとブレンターノ <b>第5章　現実とのかかわり</b> メルヘンの三種類 オンディーヌとウンディーネ 喪失の悲劇——『影をなくした男』 幻想と怪奇 女王ファンタジーと娘メルヘン <b>第6章　メルヘン・ア・ラ・グリム</b>（グリム風のメルヘン） グリム兄弟のメルヘン収集 メルヘンと童話の関係 白雪姫を殺そうとする実の母 グリム風のメルヘン グリム・メルヘンの国際性 グリム兄弟のメルヘンをめぐる議論 児童教育にちての賛否両論 <b>第7章　絶望と風刺と虚無</b> 救いのないメルヘン 詩人ハイネの場合 アンデルセンの場合 かわいそうなマッチ売りの少女が見たもの メルヘンに向かない時代 メルヘンの死？——『第六七二夜のメルヘン』 十九世紀最後の年に出版されたリルケの短編集 <b>第8章　劇場の舞台の上で</b> ウィーン民衆劇の舞台 妖精メルヘン劇の歴史的背景 メルヘン劇の中の人間嫌い 宮廷劇場で演じられたメルヘン カスパールとハンネレ 音楽とバレエからのドイツ・メルヘン入門 <b>第9章　裏返されたメルヘン</b> 最後のメルヘン作家たち ミニドラマ『いばら姫』 ローベルト・ヴァルザーの「ドラモレッテ」 終わりからの始まり 精神分析とメルヘン <b>第10章　二十世紀の創作メルヘン</b> ヘルマン・ヘッセ 大人のメルヘン——戦争と貧困 カフカの反メルヘン世界 ナチズムの光と影の中で 近代の魔法使い——ラジオ 自閉症に陥った水 すべての貧しい不幸な子どもたちのために ヴィーヒェルト作『老いた魔法使い』 <b>第11章　現代のドイツ・メルヘン</b> 社会風刺に傾くメルヘン 『ヤギと七匹の子オオカミ』 大人に歓迎された児童メルヘン 社会主義国の中でのメルヘン 隠し味となっているメルヘンを読み取る リュームコルフの純文学畑のメルヘン 大きな長編と小さな短編について語る結末 <b>第12章　ドイツ・メルヘンの特性</b> メルヘン観の浮き沈み なぜ、ドイツでメルヘンが？ ドイツ文学の一つの体質 今一度、メルヘンとは？ 訳書リスト