内容

目次

<b>「日中戦争の国際共同研究」刊行にあたって</b>　山田辰雄 <b>総　論　日中戦争期、中国の地域政権と日本の統治</b>　姫田光義 　　　　　はじめに　本巻の目的 　　　　　１　日中戦争下のリージョナル・レジーム——対立・協力そして権力の相互浸透の政治状況 　　　　　２　本書の構成について 　　　　　おわりに <b>第１部　中国の抗日体制化における地域政権</b> <b>第１章　日中戦争時期における蒋介石の省区縮小運動</b>　味岡徹 　　　　　はじめに 　　　　　１　国民党政権成立初期の省区縮小運動 　　　　　２　日中戦争と省区縮小運動の再開 　　　　　３　省区縮小運動の展開と停滞 　　　　　４　戦後の省区縮小運動 　　　　　おわりに <b>第２章　遠隔操縦——蒋介石の「手令（直接指令）」研究</b> 張瑞徳（鬼頭今日子訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１　直接指令の範囲 　　　　　２　直接指令の弊害 　　　　　３　直接指令と統帥部 　　　　　４　時代の産物としての直接指令 　　　　　5　直接指令の執行状況 　　　　　6　直接指令の効用とその失効 　　　　　おわりに <b>第３章　戦争の地域へのインパクト——広西、1937年〜1945年</b> ダイアナ・ラリー（益尾知佐子訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１　広西 　　　　　２　軍事的貢献 　　　　　３　民間人の動員 　　　　　４　日本の第一次侵攻 　　　　　5　避難民の流入 　　　　　6　近代化 　　　　　7　犠牲者 　　　　　8　日本軍の第二次侵攻 　　　　　9　政治的な抗争の終焉 　　　　　10　指導力の欠如 　　　　　おわりに——戦争の記憶 <b>第４章　晋冀魯豫抗日根拠地における商業交易（1937—1945）</b>　魏宏運（上田貴子訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１　市場の混乱から統一へ 　　　　　２　経済途絶と交易 　　　　　３　物価変動と比率の高低 　　　　　おわりに——交易勝利の鍵「知彼知己」 <b>　第２部　日本統治下の地域政権における協力と抵抗</b> <b>第５章　満州国社会への日本統治力の浸透</b>　塚瀬進 　　　　　はじめに 　　　　　１　地方での行政力の浸透 　　　　　２　農業政策の浸透 　　　　　３　商業統制策の浸透 　　　　　４　徴税機構の整備 　　　　　おわりに <b>第６章　「満州国」の政権体制と基層社会組織</b>　解学詩（小都晶子訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１ 　「満州国」政権の二重構造 　　　　　２　 「満州国政府」と表裏一体化した協和会 　　　　　３　保甲制度から「国民組織化」へ 　　　　　おわりに <b>第７章　日本軍の内モンゴル占領と「蒙古聯合自治政府」の本質</b>　盧明輝（田中剛訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１　日本の「満蒙政策」——　侵略計画の推進 　　　　　２　内モンゴル西部地域への日本の侵略 　　　　　３　関東軍による「察南」「晋北」「蒙古」傀儡政権樹立援助 　　　　　４　「察南」「晋北」「蒙古」三政権の統合と「蒙古聯合自治政府」の本質 　　 <b>第８章　変調する「雨夜花」——戦時台湾の幾つかの側面の観察</b> 邵銘煌（福士由紀訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１ 　「天皇の赤子」を育成し「皇国臣民」を練成する 　　　　　２　皇軍のために犬馬の労をとる 　　　　　３　祖国の情、台湾の心——大陸における台湾人の奮闘 　　　　　おわりに <b>第３部　日中双方の勢力競合・相互浸透地域における日本の統治施策</b> <b>第９章　河南省における食糧欠乏と日本の穀物徴発活動</b>　オドリック・ウー（吉田豊子訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１ 戦時下における食糧生産の減退と経済の苦境 　　　　　２　都市と農村の徴発機構 　　　　　３　食糧徴発の戦略 　　　　　おわりに <b>第10章　揚子江流域における占領国家の建設、1938—39年</b>　ティモシー・ブルック（西野可奈訳） 　　　　　はじめに 　　　　　１ 「宣撫」 　　　　　２　「自治」 　　　　　３　政治動員 　　　　　おわりに——中国史としての占領国家 <b>第11章　文化政策と占領地支配——中支建設資料整備委員会を中心に</b>　金丸裕一 　　　　　はじめに 　　　　　１ 「損失」と「略奪」 　　　　　２　文化財の接収・整理作業——1937年12月〜1938年8月 　　　　　３　文化財「活用」の諸相——1938年9月〜1942年3月 　　　　　おわりに——文化財返還と汪清衛政権 <b>第12章　興亜院とその中国調査</b>　久保亨 　　　　　はじめに 　　　　　１　興亜院の成立 　　　　　２　興亜院による中国占領地行政 　　　　　３　中国調査の機構と課題 　　　　　４　興亜技術委員会の組織と活動 　　　　　5　調査内容の特徴 　　　　　おわりに <b>第４部　戦時下の特殊な地域・上海</b> <b>第13章　戦時上海における「租界問題」——日本軍上海租界進駐の背景</b>　髙綱博文 　　　　　はじめに 　　　　　１　植田捷雄の「上海租界問題」論 　　　　　２　興亜院華中連絡部の「上海租界問題」調査報告 　　　　　３　「上海租界問題」への日本側の対応 　　　　　４　上海共同租界進駐 　　　　　おわりに <b>第14章　占領下の上海における中国医師界</b>　フレデリック・E・ウェイクマン，Jr.（杉本公子訳） 　　　　　はじめに——中国における中国医学会と西洋医学会の闘争 　　　　　１　上海における中国医学と西洋医学の共存 　　　　　２　伝統的中国医学に対する戦争の影響 　　　　　３　“暗黒時代”下の買い占めと漢奸 　　　　　４　監視 　　　　　5　無秩序 　　　　　6　危機的な政治状況 　　　　　7　逮捕 　　　　　8　占領終焉の到来 　　　　　おわりに——良心の呵責 あとがき