内容
これまで剖検を主体として発達してきたわが国の病理学も,近年生検診断,外科病理という考えかたが導入され,その診断精度の向上が求められている.正確な診断のためには検体の扱いかた,標本の作りかたが重要なことは言うまでもないが,今までの成書ではともすれば,組織像のみかたなどに重きがおかれ,それらに言及されたものが少ない.本書では,日常病理診断の中での,肉眼観察,切り出しなどの検体の取り扱いかた,実際の診断の記述例などを個々の臓器にわたって解説されている.外科病理で正しい診断に到達するための「病理医」必携のマニュアルである.今回の改訂では,切り出しかたを up−date(EMR,乳房縮小手術など)するとともに,「生検診断の実際」の項を大幅に加筆.また電子顕微鏡の項を新設し,免疫組織化学・分子病理の内容も一新した.