ロマネスク美術とその周辺
辻 佐保子 著
内容
目次
略号(雑誌,叢書,辞典その他) 序 中世美術を求めての半世紀におよぶ彷徨 Ⅰ ヨハネ黙示録をめぐって 1 「ベアトゥス黙示録註解」――「ファクンドゥス写本」の制作とその構成 はじめに 一 フェルナンド一世と王妃サンチャによる芸術庇護 二 「ベアトゥス黙示録註解」写本におけるテクストと挿絵の構成 2 「ベアトゥス黙示録」諸写本の系統別分類と主要作品の特色 付 「ベアトゥス黙示録註解」現存写本リスト(安發和彰) 3 「ベアトゥス黙示録註解」(アローヨ写本)解説 はじめに 一 「ベアトゥス黙示録」写本における書体と挿絵の様式的な同調 二 図像やモティーフの無自覚な,または意図的な改変 三 「アローヨ写本」に残留する後期ロマネスク的要素 4 「アングロノルマン黙示録」の系列における『トリニティ黙示録』の特性 Ⅱ 殉教者崇敬とキリストの贖罪による救済 5 「祭壇の下の殉教者の魂」(ヨハネ黙示録第6章9-11節)――連続的説話表現から典礼的図像配置へ 序 一 黙示録写本挿絵における「祭壇の下の殉教者の魂」 二 祭壇周辺部の壁画における「祭壇の下の殉教者の魂」と「祭壇に香を捧げる天使」 三 穹窿(ヴォールト)の「天の都エルサレム」に導入された「祭壇の下の殉教者の魂」 結語にかえて 6 祭祀の空間におけるキリスト受難に倣う殉教の主題 序 一 教会東端部の上下構造 二 アプシス低部のキリスト「受難・復活」 三 祭壇間近の殉教者伝サイクル 四 ヴィック,サン・マルタン教会の場合 7 「煉獄」の先駆としての「冥府降下」図像の拡張的用法 序文 一 コッキノバフォスの修道士ヨハンネスによる『聖母マリア讃詞集』(Vat.gr.1162,fs.30v,48v) 二 ジローナ大聖堂『ベアトゥス黙示録註解』(fs.17v,18r) 三 サン・ジャック・デ・ゲレ教会の壁画 結語 8 ロマネスク壁画の発見と修復――ムーティエとグールドン場合 一 ムーティエ サン・ピエール教会の壁画 二 グールドン ノートル・ダム教会の壁画 おわりに Ⅲ 中世美術の諸相 9 ローマその他の初期中世美術 一 教皇庁とフランク国家 二 聖母子イコンの役割 三 サンタ・マリア・アンティークア教会における壁画の寄進 付 サン・クレメンテ,下の教会,九世紀の壁画 四 サン・ヴィンチェンツォ・アル・ヴォルトゥルノ修道院院長エピファニウスのクリプト壁画 10 詩編挿絵における「偶像」表現の役割――『ユトレヒト詩編』を中心に はじめに 一 『ユトレヒト詩編』ほかの詩編挿絵における「偶像」のイメージを触発する語句と言い回し 二 『ユトレヒト詩編』における偶像の意味と役割 おわりに 11 聖体拝領と埋葬をめぐって――グレゴリウス一世『対話』第23,24章の絵画化 はじめに 一 問題の所在――挿絵の配置入れ替えと中間部分の利用 二 第24章の挿絵――標題,「先に大地が追い出した者を,大地は父の意志によって受け入れる」 三 第23章の挿絵――標題,「供物によって彼は聖なる場所に〔二人の婦人を〕与える.舌禍が〔二人を〕聖なるものから遠ざけていた」 おわりに 12 ヴィラール・ド・オンヌクールの「画帖(アルバム)」をめぐって はじめに 一 ヴィラール評価の一八〇度転換 二 デッサンの技法とドラプリ表現 三 “al vif”問題 四 パターン・ブックとしての「画帖」 五 異教起源の裸体像 13 教会内の備品とその絵画による表現――リアリティーとアナクロニスム はじめに 一 「シリア式アンボ」と,舗床モザイクの配置や装飾におけるその投影 二 写本挿絵に描かれた教会内部の備品 三 「マリアの神殿奉献」と「閉じられた扉」 結語にかえて あとがき 初出一覧 図版 図版リスト 索引
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