アウト・オブ・コントロール~ネットにおける情報共有・セキュリティ・匿名性~
大谷 卓史 著
内容
目次
はじめに第1章 ウィニー——何が問題とされたのか?1 「47氏」の挑戦——ウィニーはいかに生まれたか? ファイル共有ソフトとは何か?/ウィニーの降臨/Winny ver.1からver.2へ/使っても足がつかないファイル共有ソフト——ウィニーが歓迎されたわけ2 ファイル共有ソフト,社会問題になる ファイル共有ソフトは,著作権侵害と児童ポルノの温床か?/プロバイダの経営を直撃したファイル共有ソフト/情報漏えいがとまらない3 逮捕そして有罪の衝撃 ウィニー利用者,逮捕される/ウィニー開発者逮捕の衝撃/それでも止まらない情報漏えい/有罪判決は問題を解決したのか?/47氏は「IT思想犯」だったのか?第2章 ウィニーは悪なのか?——インターネットの可能性の極限に向けて1 P2Pとは何か ウィニーを例にファイル共有ソフトの使い方を知る/ファイル共有の基本的なしくみ2 どうしてウィニーは著作権侵害の道具となってしまったのか? ファイル共有ソフトの利用はどうして著作権侵害となるのか?/ウィニーはどうやって通信を秘匿しようとしたか?/ウィニーの通信は本当に秘匿されていたのか?——脆かった秘匿化のしくみ/ウィニーでダウンロードするだけならば,本当に著作権侵害に当たらないのか?3 どうしてウィニーは情報流出を招いたのか? ウィニー利用者の危険な行動パターン/自覚のないまま情報が放流される4 インターネットの可能性の極限に向けて インターネットの本来の役割は情報共有である/情報を隠し,コントロールするという新しい欲望/ウィニー——情報共有・公開の極限に向けて第3章 ウィニーの情報所有論1 インターネットの所有とコモンズ コモンズの悲劇/ネットワーク帯域というコモンズ2 コモンズvs私有財産——インターネットの帯域問題3 著作権の哲学——著作権の倫理学・哲学的基盤はあるか? 著作権制度は何を目指していたのか?/表現を越えて,知識や情報は所有できるのか?/著作権は制限されるか?/著作者人格権の問題/創造のインセンティブは経済的利益だけか?/著作者の権利とは何か?4 政治・経済システムの中の著作権 新メディアの登場と著作権制度(1)——レコード・自動ピアノ/新メディアの登場と著作権制度(2)——ラジオ放送/米国におけるP2Pファイル共有ソフトをめぐる政治と司法/現代において均衡ある著作物の流通システムの構想は可能か?5 著作権のゆくえ——現代における流通コントロール 「私的複製」は消え去るのか?/著作権制度のゆくえ第4章 をどう考えるか 議論の焦点となる匿名性1 インターネットは匿名の世界なのか? 実名から匿名・実名混在の世界へ/インターネットはどこまで匿名なのか?2 匿名性とは何か?——「到達困難性としての匿名性」と「印象操作のための匿名性」 匿名性の3要素——連結困難性・観測困難性・文脈依存性/到達困難性としての匿名性/印象操作のための匿名性/二つの匿名性の意義/自律のための匿名性3 匿名性の可能性と限界——自由と専制 匿名コミュニケーション批判への反論/匿名コミュニケーションが他者の自由を侵害する/匿名言論は公共圏を破壊するか?/権力の源泉としての匿名性/匿名性の両義的性格4 親切な監視——見守り型監視の根拠と限界 統制の監視と配慮の監視/配慮の監視の技術/配慮の監視に必要な信頼関係/匿名性と両立する監視メカニズム/再犯予防のための監視の条件/「ネットID」への連結困難性の導入5 秘密のない世界は必要か?おわりに 「著作権法違反幇助」への違和感/ウィニーのとは誰だったのか?/技術の大きな力をどう制御するか?/著作権制度への挑戦は悪なのか?/何が本当に守るべき価値なのか? 参考文献
カート
カートに商品は入っていません。