デジタル社会の日本語作法
井上 史雄, 荻野 綱男, 秋月 高太郎 著
内容
目次
この本のねらい 序章 デジタル社会の作法 アナログとデジタル メールの機能拡大と「無形の刃物」 ことば殺人事件と作法の習得法 メールの語彙――パソコンメールとケータイメール メールの経済言語学 Ⅰ章 デジタル出世論――メール作法の通時論 1 メールの登場 電子(パソコン)メール発展史 電子メールの便利さと普及 電子メールが置き換えたもの 2 メールの地位 通信手段の丁寧さスケール メール文の地位上昇と作法確立 メール文と上からの変化 山出しの男の出世としてのメール文変化 Ⅱ章 デジタル行動論――談話としての電子メール 手紙とメールの2重の3分割 手紙とメールの定型性と独創性 2つのネチケット 談話・対話としての電子メール Ⅲ章 デジタル書簡論――電子メールの共時的構造 1 電子メールの基本構成 手紙との共通性 2 メールの外側(封筒の表書き) a 宛先・メールアドレスは必須 b 差出人は自動的 c 件名(題名,タイトル)を付ける 3 メール本文の冒頭――宛先と挨拶文 d 本文冒頭の宛名は有効 e 本文冒頭の名乗りは省略可 f,g,h,i 頭語・前文・末文・結語は省略可 4 メール本文の主文 j1 主文(用件)は簡潔に j2 主文の文体は丁寧に j3 主文は改行で読みやすく 5 メール本文の末尾 k 署名(シグネチャー)の勧め 6 メールの付加機能の活用 l Cc:の有効性 m Bcc:の使い方 n 添付ファイルの便利さ 7 メールの注意――文面・交信 o 返信での引用に用心 p 送信前の読み直し・点検は必須 q データのバックアップ Ⅳ章 デジタル文体論――ケータイメールの新言文一致体と方言 1 文体とメディア 書きことばと話しことばの挨拶の違い――もしもし ケータイメールの文体スケールの下降 2 ケータイメールの文体 ケータイメールにおける新言文一致体の出現 ケータイの方言メールと方言の復権 顔文字の文体スケール 電子メールの丁寧さスケールの交叉 Ⅴ章 デジタル談話論――電子民主主義の作法 1 メーリングリスト メーリングリストの特徴 メーリングリストで議論は可能か? メーリングリストの管理者 隠れたメーリングリストの活用 2 電子掲示板 掲示板の匿名性 匿名性の特徴――実社会との対比 掲示板の発言の記録性 掲示板と民主的な議論 3 ネット会議――情報保存の重要性 ネットで相談し,決定する ネット会議の注意点 ネット会議と対面相談 4 トラブルはこうして避ける 誰に伝えるか――個人メールとMLの使い分け MLに名前を消して伝える 何を伝えるか,伝えないか Ⅵ章 デジタル表現論――デジタル空間を浮遊することばとコミュニケーション 1 ケータイメールのコミュニケーション ネオ・メーラーとしての若者 メールアドレス登録数とメール送受信数 通話よりメールがいい ケータイはメール送受信機 2 ウェブ日記文体論試論 誰もが読める「日記」 括弧付き文字列の機能 感情伝達機能 「ツッコミ」機能 サブカルチャー的表現形式 3 電子掲示板における「名無し」コミュニケーション 「名無しさん」って誰? 名無しとコテハンの違い 「開いた」談話 伝言ダイヤルから電子掲示板へ 無名性コミュニケーションの功罪 「電車男」が意味するもの/電子掲示板からSNSへ 4 「未承諾広告」のポライトネス スパムメールの氾濫 「詫び」で始まるメール 親しさを演出するメール ネガティブ・ポライトネスとポジティブ・ポライトネス Ⅶ章 デジタル対話論――イエ電からケータイへ 1 留守電付きイエ電からケータイへ ケータイ以前の時代 2 イエ電の冒頭対話 冒頭対話の機能 着信場所の提示 発信者の名乗り 取り次ぎの依頼 3 ケータイの冒頭対話 すぐに用件に入る対話 電話番号登録機能 電話番号通知機能 個人所有物としてのケータイ 4 ケータイの新しい作法 ケータイの留守電をめぐる行動 ワン切り 電話に出ないという選択 電話かメールか Ⅷ章 デジタル敬語論――デジタル社会の敬意表現 1 世界的な「敬語の民主化」傾向 第三者敬語から聞き手敬語へ 上下関係から親疎関係へ デジタル社会と敬語の変化 2 パソコミ,ミディコミと敬語 パソコミとしてのメール ミディコミとしてのメーリングリスト,メルマガ,ウェブ ミディコミとしての議論のあり方 ミディコミと敬語 3 情報縁と敬語 情報による人間の新たな結びつき 情報縁集団における敬語 4 時間圧と情報の完結性・簡潔性 メールの爆発的増加 高まる「時間圧」 丁寧さの新しいルール 「丁寧な」メールとは? Ⅸ章 デジタル作法論――メディアの中の人間関係 1 迷ったら一番丁寧に 手間暇の法則 2 日本社会が共有するコミュニケーション原則 社会が前提にしている原則 コミュニケーションの原則は変わらない 3 メディアの使い分け 新しいメディアの登場 「相手にどのように伝えるか」を考える 社会の変化への適応 言語行動としてのメディアの使い分け 終章 電子メールとケータイによる情報革命 あとがき 参照文献 索引
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