著者紹介

内容

目次

序章 問題の所在 　第1節 国際法上の内政不干渉原則とその適用 　　第1款 2016年米国大統領選挙へのロシアの関与 　　　第1項 学説上の議論 　　　第2項 オバマ大統領の声明 　　第2款 内政不干渉原則についての通説的見解 　　第3款 内政不干渉原則の適用の問題 　　　第1項 強制概念の不確定性 　　　第2項 国家実行と学説の乖離 　　　第3項 規範の不確定性 　　　第4項 学説と実定国際法の関係 　第2節 法内容についての諸論点 　　第1款 規律対象行為 　　　第1項 友好関係原則宣言の規定 　　　第2項 通説の理解 　　　第3項 通説への異論 　　第2款 不干渉原則の保護範囲 　　　第1項 友好関係原則宣言の規定 　　　第2項 「国内管轄事項」の枠内での「対内・対外事項」 　　　第3項 「国内管轄事項」に対立する「対内・対外事項」 　　　第4項 「国内管轄事項」と「対内・対外事項」の重畳性 　　　第5項 保護範囲としての「権限」と「法主体」の対立 　　第3款 内乱への影響力行使の法的規制 　　　第1項 万国国際法学会決議 　　　第2項 既存政府の要請による干渉の原則的禁止とその例外 　　　第3項 既存政府の要請による干渉の原則的許容 　第3節 本書の構成 ■Ⅰ 国家実行における干渉の規制 第1章 19世紀ヨーロッパにおける不干渉原則 　第1節 ナポレオン戦争後の欧州国際秩 　　第1款 政治的均衡の観念 　　第2款 列強の優越的地位 　第2節 1820 年代初頭における干渉をめぐる原則的対立 　　第1款 19世紀前半における「干渉」概念 　　　第1項 内乱状態という前提 　　　第2項 内乱に対する中立的行態としての不干渉 　　　第3項 軍隊の派遣 　　　第4項 承認行為および中立法に違反する行為 　　第2款 干渉権についての国際法規制の射程 　　　第1項 大陸列強の見解 　　　第2項 英国の立場 　　　第3項 「特別の事例の諸事情」の内容 　　　第4項 規則の存在する事例 　　第3款 干渉問題についての集団的手続の妥当性 　　　第1項 大陸諸国の見解 　　　第2項 英国の反対 　　第4款 国際法の論証:条約・先例・学説 　　　第1項 ロシア 　　　第2項 英国 　第3節 1820年代中盤における正統性原則の挫折 　　第1款 中南米のスペイン植民地の独立 　　　第1項 スペインによる会議要請 　　　第2項 英国による中南米諸国の承認 　　　第3項 モンロー宣言 　　第2款 ギリシア独立戦争 　　　第1項 ペテルブルク会議の決裂(1825 年) 　　　第2項 英露議定書(1826年)からナヴァリノ海戦(1827年)への展開 　第4節 1830 年代における国家実行の収斂 　　第1款 七月革命:事実上の政府の承認 　　第2款 ベルギー独立問題 　　　第1項 「ヨーロッパ」の権利に基づく列強の集団干渉権 　　　第2項 同意原則の形骸化 　　第3款 安全保障上の考慮に基づく干渉 　　　第1項 イタリアにおける反乱 　　　第2項 ベルリン条約 　　第4款 1830年代における学説の権威 　　　第1項 ヴァッテルの議論 　　　第2項 英国の抗議 　　　第3項 ヴァッテルの権威に対する疑惑 　　　第4項 ヴァッテルに基づく反論 　　　第5項 小括 　第5節 1850 年前後における国家実行の確立 　　第1款 二月革命 　　第2款 ハンガリーにおける反乱 　第6節 クリミア戦争開戦過程における「干渉」と「強制措置」 　　第1款 「干渉」の意味内容 　　第2款 国際紛争への関与としての干渉の法的地位 　　　第1項 ヨーロッパの均衡の要素としてのトルコの保全 　　　第2項 干渉権 　　第3款 「強制措置」概念の発見とその消極的機能 　第7節 小括 第2章 20世紀米州における干渉の法規制 　第1節 米州国家実行の萌芽:メキシコ干渉 　　第1款 干渉の概念 　　　第1項 干渉=内乱への非中立的行動 　　　第2項 干渉=強制との見解の萌芽 　　第2款 内乱への非中立的態度と強制の法的地位 　第2節 20世紀初頭における2 つの具体的問題 　　第1款 外交的保護のための軍事圧力をめぐる議論 　　　第1項 ベネズエラ封鎖事件 　　　第2項 ドラゴ主義 　　第2款 内乱時における在外自国民保護のための軍隊派遣 　　　第1項 米国の覇権の承認としてのモンロー主義 　　　第2項 ルーズベルト・コロラリー 　　　第3項 ニカラグア問題と「干与(interposition)」概念の成立 　　　第4項 「干与」概念と「自己保存」概念の連続性 　第3節 第2回ハーグ平和会議(1907年) 　　第1款 ポーター条約 　　第2款 認定権の平等に基づく米国提案 　　　第1項 ポーター(Horace Porter)による趣旨説明 　　　第2項 認定権における平等の条件 　　第3款 強制権の行使可能性の平等 　　第4款 小括 　第4節 汎米会議における「対内・対外事項」への干渉の禁止の確立 　　第1款 リオ法律家委員会(1927年)における干渉概念の統合 　　　第1項 ニカラグア問題 　　　第2項 干渉概念と内戦への関与 　　　第3項 強制としての干渉概念 　　　第4項 内戦に対する狭義の中立 　　第2款 第6回汎米会議(1928年，ハバナ) 　　　第1項 主観的権利実現の要請に基づく干渉の正当化 　　　第2項 絶対不干渉とその根拠としての国家平等 　　　第3項 絶対不干渉の前提としての第三者機関による紛争処理手続 　　第3款 第7回会議(1933年，モンテビデオ)と平和維持についての汎米会議(1936年，ブエノスアイレス) 　　　第1項 モンテビデオ会議 　　　第2項 ブエノスアイレス会議 　　第4款 干渉概念の不確定性:不特定多数の事例への画一的適用の困難 　　　第1項 干渉の定義の問題 　　　第2項 第三者機関による紛争処理手続 　　第5款 米州機構憲章 　　　第1項 第15条における既存の不干渉原則の再確認 　　　第2項 第16条と干渉概念の不確定性 　　　第3項 「干与」の放棄の前提としての集団的手続 　第5節 小括 ■Ⅱ 学説における干渉に関する国際法規則の発達 第3章 「命令的介入」としての干渉とその原則的禁止 　第1節 オッペンハイムの実証主義 　　　第1項 実定法の概念 　　　第2項 執行 　　　第3項 同意と共同体 　　　第4項 学説の役割:体系化と欠缺補充 　第2節 国際人格からの干渉概念と不干渉原則の導出 　　　第1項 intervention 　　　第2項 interference 　　　第3項 不干渉原則 　第3節 不干渉原則の例外の体系化 　　　第1項 権利と赦免 　　　第2項 権利による干渉 　　　第3項 赦免される干渉 　第4節 政策問題 　　　第1項 国際法の次元と国家利益の次元の二元性 　　　第2項 国際法の前提としての主権国家 　第5節 オッペンハイムによる干渉論の体系化の理論的範型 　　　第1項 人格 　　　第2項 国際共同体における国家の諸権利 　　　第3項 小括 　第6節 小括 第4章 学説における国内管轄事項概念の導入 　第1節 ケルゼンの理論 　　第1款 国内法の事項的妥当範囲と国家の権限 　　第2款 国家の排他的権限への干渉の禁止とその意義 　　第3款 権利義務関係の否定 　　第4款 ケルゼン法学の基本的課題 　　　第1項 客観法と主観法 　　　第2項 法の実定性:因果法則および自然法からの自立性 　　　第3項 法の客観性:他律的法と自律的道徳の区別 　　　第4項 主観法概念の問題性 　　　第5項 主観法の客観法への還元 　　　第6項 合法性と正統性 　　第5款 強制秩序としての法 　　　第1項 法命題の概念 　　　第2項 強制の客観法による留保 　　　第3項 戦争の問題 　　　第4項 戦争の客観国際法による規律の根拠としての干渉の禁止 　　第6款 不干渉原則の実定性 　　　第1項 国家実行による実証の欠如 　　　第2項 法学的構成という法学の機能 　　第7 款 強制主体の特定化の問題 　　　第1項 集権化への展望 　　　第2項 強制者の不特定性 　第2節 フェアドロスの理論 　　第1款 国内管轄事項への干渉の禁止 　　　第1項 権限秩序(Zustandigkeitsordnung)としての国際法 　　　第2項 干渉の禁止と排他的権限の同一視 　　第2款 客観法秩序としての国際法 　　　第1項 客観法と主観法 　　　第2項 国際法によって付与された権限としての主権 　　第3款 強制の「自由」の残存 　　　第1項 競合的裁量権限と強制 　　　第2項 国家の法化の限定性 　　　第3項 国家実行における干渉・国家の法化の限定性 　　　第4項 背景としての連盟規約15条8項 　　第4款 国際法学の構成機能 　第3節 フェアドロスにおける主観法の回帰 　　第1款 主観法の承認 　　　第1項 主観法の概念 　　　第2項 主観化の態様 　　　第3項 国際法上の義務の相対性 　　第2款 実定国際法に自立的な基本的権利義務関係の承認 　　　第1項 干渉の禁止 　　　第2項 基本的権利義務概念の導入 　　　第3項 主観法の自立化の理由 　第4節 小括 ■Ⅲ 結論 第5章 冷戦期における不干渉原則 　第1節 国家実行の文脈 　　第1款 平和共存(peaceful co-existence) 　　第2款 相互依存 　第2節 友好関係原則宣言の規定内容 　　第1款 米州国家実行の継受としての友好関係原則宣言 　　第2款 強制 　　　第1項 国家意思の強制 　　　第2項 政治的・経済的手段 　　　第3項 介入(interference) 　　第3款 禁止の範囲 　　　第1項 国内管轄事項 　　　第2項 対内・対外事項 　　　第3項 両者の主張の実質的根拠 　　第4款 内乱への軍事的関与 　　　第1項 叛徒への援助の違法性 　　　第2項 武力行使禁止原則と既存政府の要請 　　　第3項 既存政府への援助 　　第5款 一元的規律の変更 　第3節 友好関係原則宣言における不確定概念の解釈適用基準 　　第1款 「確立した国際実行」 　　第2款 米州国家実行上の国際法規則の不確定性 　　　第1項 集団的手続の欠如と恣意的解釈の危険 　　　第2項 米州の定式の曖昧さの意味 　　　第3項 「確立した国際実行」・「相互信頼関係」による規制 　　第3款 不干渉原則の不確定性の理由 　第4節 不干渉原則の明確化の試み 　　第1款 介入の禁止 　　　第1項 受信国の同意なき衛星テレビ放送の禁止と情報の自由 　　　第2項 国連総会決議 　　第2款 ヘルシンキ最終議定書の不干渉原則観 　　　第1項 ブレジネフ主義の否認 　　　第2項 強制への干渉概念の限定の意味 　　　第3項 「対内・対外事項」に対する「国内管轄事項」の優位 　第5節 ニカラグア事件本案判決における不干渉原則 　　第1款 不干渉原則の定式化 　　第2款 禁止される干渉の本質としての強制 　　　第1項 干渉の下限の明確化:禁止からの他国への情報頒布の除外 　　　第2項 干渉の上限の明確化:武力行使による干渉の禁止 　　　第3項 不確定概念としての強制 　　第3款 国家主権の原則と国際法上の義務 　第6節 小括 終章 検討の結果 　第1節 適用可能性の問題 　　第1款 通説の見解の適用可能性 　　第2款 実定国際法上の不干渉原則の適用可能性 　　第3款 内乱への関与における既存政府の要請の位置づけ 　第2節 2016年のロシアの選挙介入の国際法上の評価 　　第1款 情報の自由に基づく干渉概念の限定 　　第2款 干渉概念の不確定性 　　　第1項 強制概念 　　　第2項 学説により再定義された干渉・強制概念の不確定性 　あとがき 　索引