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お金の改革論(講談社学術文庫 2245)

ジョン.メイナード・ケインズ  著

山形 浩生  翻訳
 品切
       
価格 \880(税込)         

発行年月 2014年07月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 219p
大きさ 15cm
ジャンル 和書/社会科学/経済学/経済学説・経済思想
ISBN 9784062922456
商品コード 1015926040
NDC分類 331.74
本の性格 学術書/学生用
新刊案内掲載月 2014年08月4週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1015926040

内容

インフレは投資家に対し不公正で、デフレは借り手に不公正。
ケインズの代表作を、わかりやすい訳で読む!

第一次世界大戦後、世界中で起きた急激な物価水準変動に対し、ケインズは何を考えたか。
物価安定か、為替の安定か。金本位制をどうとらえるか。
「邪悪な現実」と格闘するケインズの思考が、ここにはのこされている。

[本書の価値とぼくたちにとっての意義―訳者から]
 まず本書で重要なのは、インフレとデフレの相対的な被害についての明示だろう。1990年代からの20年以上にわたり、日本経済はデフレに苦しんできた。2013年に日本銀行が黒田東彦総裁の指揮下で2パーセントのインフレ目標政策をはっきり採用し、そのために大規模緩和(黒田総裁は「量的・質的金融緩和(QQE)」と呼んでいるが、あまり名称としては普及していない)を行ったことで、執筆時点ではようやくデフレの時代が終わりつつあるようだ。だが、デフレが有害だという認識が浸透するにはあまりに時間がかかりすぎた。デフレは物価が安くなるんだからいいものなんだ、という「よいデフレ」論を、高名な経済学者を含む多くの「有識者」なる人々が言いつのっていた。本書に書かれた認識―デフレは生産者に負担を与え、生産活動を控えさせ、人々を失業に追いやり、喜ぶのは既得権益を持った金持ちばかり―がもっと浸透していれば。
 ここは重要なポイントだ。インフレやデフレは、実体経済に影響を与える。そして本書は、その仕組みについても簡潔に指摘している。お金の市場の状況が実体経済に影響を与え、持続的な失業を引き起こすこともある―これはケインズ『一般理論』の肝だ。本書は『一般理論』ほどきちんと定式化してはいないものの、それにつながる明確な認識がすでにある。
(中略)
 むろん、本書は管理通貨制度の夜明けに書かれたものだし、現在の中央銀行や金融当局ははるかに高度な理論もあり、考えるべき内容もきわめて多い。だがこの基本的な知見は、未だにかわらないものであるはずだ。
 もちろん、もっと歴史的な文書として本書を読むこともできる。金本位制や、いわば「強い通貨」を主張する人々の変な議論は、現在でもいろんなところで見かけるものだ。それを見て、人間の進歩のなさを嘆く/おもしろがることもできる。さらに本書は、ケインズの一、二を争う名言が出てくる本でもある。「長期的には、われわれみんな死んでいる」というもの。経済学者は目先の問題―たとえば失業に対して、長期的にはそれが解決される、と言いたがる。できることは何もないとか、「自然に」任せるべきだとも言う。でも手をこまねいてそんなものを待つだけでは、経済学者も金融当局も存在価値がない。いまできることを考え、実行しよう!

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