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死産される日本語・日本人~「日本」の歴史-地政的配置~(講談社学術文庫 2297)

酒井 直樹  著

 品切
       
価格 \1,243(税込)         

発行年月 2015年05月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 357p
大きさ 15cm
ジャンル 和書/総記/総記/百科事典・辞典・各種辞典・地図・年表・人名事典
ISBN 9784062922975
商品コード 1017768376
NDC分類 304
本の性格 学術書/学生用
新刊案内掲載月 2015年06月3週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1017768376

著者紹介

酒井 直樹(著者):1946年、神奈川県生まれ。1971年、東京大学文学部卒業。1983年、シカゴ大学人文科学部で博士号取得。現在、コーネル大学人文学部教授。専門は、日本思想史・文化理論・比較思想。主な著書に、『日本思想という問題』、『過去の声』、『日本/映像/米国』、『希望と憲法』など。

内容

「日本語」や「日本人」は、それ自体としてあるものではないが、好き勝手に作られる想像の産物でもない。それらは国家統合の理念として近代に要請され、だからこそ「純粋」でなければならなかった。この要請は、失われた過去に「純粋」な存在を求め、そこからの連続によって現在を正当化する。だから、日本語も日本人も、生まれた時には、すでに死産されている。──幾多の議論を巻き起こした問題の書、新稿を加えた決定版で登場。


グローバル化がとどめられない勢いをもつ現在、ナショナリズムや自民族中心主義、それが生み出す排外主義が台頭してきている皮肉な現実は、世界中のさまざまな出来事を見ても疑いない。本書は、若き日にアメリカに渡って博士号を取得したあと、本拠地アメリカのみならず、ヨーロッパやアジアを含め、世界中で活躍してきた著者が日本語でものした初めての著書である。
本書の中核をなし、書名にも採用された記念碑的論文「死産される日本語・日本人」で、著者は「日本語」や「日本人」はそれ自体としてあるものではないと説く。かといって、それらは好き勝手に作ることのできる想像の産物でもない。「日本語」や「日本人」が問題になったのは、「近代」という時代になって、それらが国家統合の理念として要請された時だった。そこで要請された「日本語」や「日本人」は「純粋」でなければならず、その「純粋」な存在は『古事記』や『日本書紀』などを素材にして、失われた過去に求められることになった。その「純粋」な存在が現在まで連綿と続いていることを理由に、現在の「日本語」や「日本人」が正当化される。
このような論理は今も至る所に見られるが、一見して分からないほど巧妙なものであることも確かである。その論理を鮮やかに浮かび上がらせた著者は、次のように言う。「国語あるいは国民語の起源をめぐる歴史的問いは、『日本語』そして国民的主体としての『日本人』が、生まれると同時に死んでいた、あるいはすでに喪失されたものとしてしか生まれることができなかった」。今もなされ続けている暴力は、生まれた時にはすでに死んでしまっていたものを根拠にしている、という事実から出発してこそ、世界の悲惨を解決する道も見出されるだろう。刊行当初から幾多の議論を巻き起こしてきた問題の書が、新稿を加えた決定版として学術文庫に登場。

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