日本の道路政策~経済学と政治学からの分析~
太田 和博 著
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内容
目次
序 章 道路政策を鳥瞰する視座――問題の所在と限定 1.本書の目的と基本的視座 1.1 本書の目的とその限定 1.2 本書の基本的視座:公平性を組み込む 2.道路政策への認識と分析の視点 3.本書の構成:理念,分析,決定 第1章 道路政策の歴史――現行制度の淵源 1.本書の射程 2.戦前の道路政策の体制 3.1955年体制 4.2000年代の制度変更 5.第1章の総括 第I部 高速道路政策 第2章 高速道路の整備政策 1.高速道路の整備計画の理念と整備の推移 1.1 世界銀行からの融資による名神高速道路の開通 1.2 7,600キロ整備計画:1966年の法定計画 1.3 14,000キロ整備計画:1987年の閣議決定 1.4 高規格幹線道路の定義とその展開 2.日本道路公団の資金調達の変遷 2.1 道路公団の資金調達方法 2.2 道路公団の資金調達スキームの変遷 3.過小投資仮説と過大投資仮説:経済学からの解釈 3.1 過小投資仮説 3.2 過大投資仮説 3.3 最適投資規模の不確定問題 4.未整備区間の多数派工作:公共選択論からの解釈 4.1 多数派工作の必然性 4.2 公共選択論の立憲的アプローチの限界 第3章 高速道路の料金政策 1.有料道路制度の理念と制度設計 1.1 償還主義と利用者負担の原則 1.2 料金プール償還制度:料金プール制 1.3 償還対象経費の不確定性:国費投入の是非 1.4 公正妥当主義の原則 2.料金の具体的設定とその原則:経済学からの解釈 2.1 市場価格の決定と価値の源泉 2.2 公共料金の決定原則 2.3 異時点間内部補助と路線間内部補助 2.4 様々な料金体系の成立とその原則 2.5 路線間内部補助の限度と外部補助の導入 3.高速道路の一般化と料金引下げ圧力:公共選択論からの解釈 3.1 高速道路の延伸と高速道路利用の一般化 3.2 高速道路料金の推移:改定できない料金 3.3 高速道路料金の改定の回避 第I部 総括 第II部 一般道路政策 第4章 一般道路の整備政策 1.一般道路政策の理念と1955年体制の構造 1.1 一般道路政策の理念 1.2 揮発油税の復活と道路整備緊急措置法 1.3 道路特定財源制度の創設 1.4 道路整備特別会計の創設 2.12次にわたる道路整備五箇年計画 2.1 一般道路の整備理念の変遷 2.2 道路整備五箇年計画の実態と評価 3.疑似市場としての機能の有無:経済学と財政学からの解釈 3.1 道路特定財源制度の疑似市場性の可否 3.2 総体としての受益者負担の原則 3.3 財政学の視点 4.過小投資仮説と過大投資仮説:経済学からの解釈 4.1 事業規模の推移からの判断 4.2 社会資本の特性からの判断 5.利用者負担感の高まりと公共事業悪玉論:公共選択論からの解釈 5.1 日米構造協議に端を発する公共事業の拡大 5.2 公共事業費の推移:1990年代を中心に 5.3 道路整備事業費の推移と道路政策への批判 第5章 自動車関係諸税と道路特定財源制度 1.自動車関係諸税と道路特定財源制度の概要 1.1 自動車関係諸税の概要 1.2 税率・税額の変遷:暫定税率の導入 1.3 道路特定財源の規模と資金の流れ 2.自動車関係諸税の根拠:経済学からの解釈 2.1 自動車関係諸税の位置付け:財政学の観点 2.2 道路利用料金として自動車関係諸税:交通経済学の観点 3.増税も減税も不可能な自動車関係諸税:公共選択論からの解釈 3.1 徴税側の法則 3.2 納税側の法則 3.3 1980年代・1990年代の道路特定財源の運用 第II部 総括 第III部 2000年代の道路政策の改変 第6章 日本道路公団の民営化 1.民営化の概要:公式見解とその背景 1.1 民営化の目的 1.2 民営化の組織構造:高速道路機構と高速道路会社の設立 1.3 資金の流れ:機構方式による新規整備と償還 1.4 会社と機構の資金調達 1.5 債務の返済状況 1.6 整備計画の縮小:新直轄方式の導入と抜本的見直し区間の設定 1.7 有料道路事業の整備費用の削減 1.8 整備計画の意思決定 1.9 民営化法の成立と2005年10月の民営化 2.日本道路公団の財務諸表:債務超過問題 2.1 論争の背景と当初の経緯 2.2 星・土居論文の主張 2.3 高橋論文の主張 2.4 道路資産の時価評価と減価償却 2.5 債務超過論争の政策論上の含意 2.6 債務超過論争の政治プロセス上の含意 3.民営化の帰結:公共選択論からの解釈 3.1 限界に達していた公団システム 3.2 幻の新直轄方式 3.3 目的と手段の意図的なすり替え 3.4 必然的に維持された整備計画 4.道路公団民営化の総括と文献案内 第7章 道路特定財源の一般財源化 1.一般財源化に至る経緯 1.1 発端と当初の経緯 1.2 使途拡大とシーリング下の「一般財源化」 1.3 2008年道路整備事業財政特措法による形式的な一般財源化 1.4 2009年改正道路整備事業財政特措法による実質的な一般財源化 1.5 暫定税率の失効とその事後措置 1.6 一般財源化後の暫定税率を巡る経緯 2.道路特定財源の一般財源化の不適切性:交通経済学からの解釈 2.1 一般財源化の根拠に対する批判的検討 2.2 一般財源化の含意:受益と負担のさらなる乖離 3.一般財源化の帰結:公共選択論の視点 3.1 一般財源化までの20年間の自動車関係税収の推移 3.2 一般財源化前後の自動車関係税収の推移 3.3 一般財源化とレントシーキング活動 3.4 財務省の形式的勝利と実質的敗北 3.5 財務省の構造的勝利 3.6 一般財源化の社会厚生上の帰結 第III部 総括 終 章 道路政策の来し方,行く末――含意・提言・展望 1.含意と提言:政策決定プロセス内での改革 1.1 政策決定プロセスの問題点 1.2 2つの提言 1.3 皆無な現実可能性 2.含意と提言:決定主体の変更 2.1 インフラである道路に関する政策決定 2.2 政策決定における意思決定責任と説明責任の未分化 2.3 道路政策の民営化の提言 3.展望:自動運転が生み出す変革 3.1 自動運転が実現された社会:既存文献の知見 3.2 自動運転が実現された社会:著者の私見 3.3 自動運転サービスの供給形態:著者の私見 3.4 自動運転がもたらす道路政策の変革 4.本書の意義 The Highway and Road Policy of Japan: From the Viewpoints of Economics and Political Science Kazuhiro OHTA
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