不妊治療の時代の中東~家族をつくる,家族を生きる~(アジ研選書)
村上 薫
編
発行年月 |
2018年03月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
245p |
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ジャンル |
和書 |
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ISBN |
9784258290499 |
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商品コード |
1027223409 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1027223409 |
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著者紹介
村上 薫(編者):村上 薫 日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター主任研究員
後藤 絵美 東京大学日本・アジアに関する教育研究ネットワーク特任准教授/東洋文化研究所准教授
宇田川 妙子 国立民族学博物館超域フィールド科学研究部教授
岡戸 真幸 人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター/上智大学研究機構イスラーム研究センター・研究員
鳥山 純子 日本学術振興会特別研究員(PD)
岩崎 えり奈 上智大学外国語学部教授
松尾 瑞穂 国立民族学博物館超域フィールド科学研究部准教授
細谷 幸子 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー
内容
世界初の体外受精児がイギリスで誕生したのは1978年のことである。情報や医療技術のグローバル化が進むなか、この出来事は日本などと同様に、中東地域の人々にとっても新しい時代の幕開けを意味した。エジプトでは、1986年に国内初の体外受精専門クリニックが開設され、翌年には最初の体外受精児の誕生が話題になった。その後、顕微授精の技術が実用化したのは 1990年代前半のことである。それから 20年余り、生殖補助技術を用いた不妊治療は、中東においても標準化された医療の一部として普及してきた。2012年にエジプトで公開された映画『パパ』(Bābā)は、そうした不妊治療の時代に生きる人々を描いたフィクション・コメディーである。主人公は不妊専門医のハーゼム。ある日、彼のもとに、数カ月前に結婚したばかりの友人が訪ねてきてこう言った。「今すぐ顕微授精をたのむ」。驚いたハーゼムが理由を尋ねると、友人は答えた。「結婚式の翌日から、親戚が『赤ん坊はまだか』と聞いてくるんだよ。こんなのは早く済ませてしまいたい」。「いきなり顕微授精だなんてせっかちなやつだ」と笑っていたハーゼムだったが、やがて彼自身も思いがけない状況に追い込まれる。毎日が忙しく、疲れ切って帰宅し、ソファーで眠ってしまうハーゼムに、新婚の妻が「私も顕微授精をしてほしい」と願い出てきたのだ。医師として何人もの体外受精児を世に送り出してきたハーゼムであったが、妻の言葉に衝撃を受け、「子どもは自然な形で生んだ方がいいに決まっている」と叫ぶ。
不妊が治療可能となった時代、子をもつ手段の選択肢が増えるなかで、家族をめぐる状況はどのように変化したのだろうか。本書では中東を舞台に、この問いを考えていく。