記紀万葉語の研究(笠間叢書 377)
水野 清 著
著者紹介
内容
目次
●枕詞「あしひきの」三種について 上代特殊かなづかい/「あしひき」の問題点/「枕詞の詩学」/「あ・しひ・き」--「松反しひ」との関係--/「あ・しひ・き」の城/四字形式と家持/三字形式の「足日木」/二字形式の「足引」/「キ乙」の教えるもの ●記紀神武の歌謡「こき・しひ・ゑね。こき・たび・ゑね。」 ●「ことさけば」「ことならば」「ことは」の歴史的展開 はじめに/奈良朝の「こと」/「ことならば」第一類/「ことならば」第二類/「ことならば」第三類/「ことならば」第四類/「ことならば」の新しい用例/『源氏物語』以前の「ことならば」と「ことは」/『源氏物語』の「ことならば」/『源氏物語』以後の「ことならば」/結び ●「かくばかり恋ひつつ有らずは」の「ずは」 橋本博士のズハ説とそれへの不満/年代別にしたズハ型の歌/橋本博士の未定稿「上代の国語に於ける一種のズハについて」と大岩正仲論文/仮定条件法としての理解のさまざま/現在の拒否「ズ」と将来に宣言される拒否「ジ」/仮定条件法のさまざまなタイプ/ズハ型の歌の時代区分/主な歌の口語訳例 ●万葉語「しなふ」とその周辺 ●万葉語への追跡 知草/巻一の難訓歌ーなさやぎのー/いつかしが本/(付)箸墓/百岐年 三野之国之/邑礼左変 ●万葉語の終止形と連体形の同義性 「玉久世」/「我袖もちて隠まむを」「不服て」/「世蝶」/井堤の歌への若干の注ー作者類別・年代順萬葉集によるー ●記紀における「ウル」と「タク」など 「うれむぞ」の歌二首/「海幸山幸」のウル鉤/ウレムとウル/山田孝雄氏「うれ」の考/ウレシとウレフ・ウレタム/「悠々」と「タイダイシ」と/原田芳起氏のウタテ説と大野晋氏/タイダイシ説の検討/タギタギシとタク/タクの変形・種々相/料理のコースを選定する「タク」/神代記「うじたかれころろぎて」/たきそなひ(手寸十名相)/「たく」から「たいだいし」へ ●方言・地形にも注目 「たき」と「たぎち」/髪タクとタキ・タギツ/「さなづら」から「さのかた」へ/「さのかた」の特徴/しな立つ筑摩左野方/「しなだつ」/息長の越の小菅/生ひをゐをれる川藻/ヲヲルと明きらかな歌/乎為ルの「為」誤字説など/ヲヲルと確かに訓む例とその意味/鴬のヲヲリ/「ヲヲル」とラホ日辞典また島根方言 ●橋本博士の「とほしろし」論など 登保・志呂之(とほ・しろし)/とほしろし(雄大)説への疑い/橋本説への吟味の必要/「とほし」と「しろし」/「とほし」(浸)と「しろし」(●)の合成/しら遠ふ小新田山 ●連語にこめられた心情 ニヨブかニヨフか/懐風藻と岡山方言/サマヨフとサマヨフ/接尾辞「〜ヨフ」の付く四動詞/連語論から見た日本語動詞のありかた/人に対する働きかけの連語/よびかけの結びつき/「のどよふ」は「喉喚ぶ」か/遣新羅使人の「ヨビヨセテ」の歌/「喚・呼」の意の「ヨブ」/付「今は王良まし木積来ずとも」—「たとひ」と「たとへ」—/ノミト(甲)とノミト(乙)/外・門・戸・処(ト甲)と跡(ト乙)/斉明紀「射ゆ鹿猪をつなぐ川上(乙)の」/生けるともなし/「ノド・ヨブ」と「ニ・ヨブ」/「ニ・ヨブ」の場面いろいろー殉死者の血泣ー/頸を切られつつ呻ぶ仏像/難船・孤立・病苦/人を食う鬼、人の血をしぼる長者の世界/強盗団に縛り上げられた仲だちの侍/付 宇治拾遺の再話/平家「緒環」の女と蛇神/徒然草、酒の害による「によび伏し」/詩歌苦吟の「によび」/ラポ日辞典の日本語「ニヨウ」/「け・によばず来ぬ」の「け」/万葉の「ニ・フブカ・ニ」/名義抄のフブク/「ニフブク」「ニフブニ」/「フブキ」の語史と辞書/「斑雑毛」と「ふりふぶく」/私家集に見る「ふぶき」/フブキの由来 ●上代語における「ヘ甲」と「ヘ乙」 表は勿さかり/「表」の字を用いたわけ/「辺・方」(へ甲)と方角/特定の「床の辺」/「戸・経」(へ乙)の綜合的非特定的特徴/「焼大刀の隔(甲)」などの歌/「剣大刀磨ぎし心」と「焼刀の利心」/焼刀と剣大刀と/湯原●王と焼大刀の歌/湯原王と「娘子」との贈答歌/「男子名は古日……」の歌/「立ち阿射里われ乞ひ祈めど」/「かたち都久保里」/「楫つくめ」/「握飯 筑波=筑●」の論—付「鹿島の神」—/「つくめ、むすぶと夜ぞふけにける」/訓点語「アフツクム」の論/図書寮本名義抄その他から/『音訓篇立』(汲古書院)の「覯マル」/覯=遘=構=●について/人妻ゆゑに/「殊更」(此ト改メテ)と「ことならば」/「あつらへ」の「なむ」/万葉の「あづきなく」/遊仙窟の「アヂキナシ」/和泉式部の歌の「あぢきなく」/文選の訓の「あぢきなし」/「たづきなし」と「あづきなし」/「あぢきなし」の主情性・客観性/「嘱」なしと「四端」/枕草子・源氏物語の「あぢきなし」/世の中、あぢきなし ●「みつれ」と「うたかた」など 「みつれにみつれ」と契沖説・『注釈』説/「みつれ」の意味と活用/● (みつる)と三礼(みつれ)/「みつれ」の歌の解釈/終止形「みつる」の傍証/末 わわらばに置ける白露/山田孝雄氏「ひさかた考」/「うたかたも」と詩経「素冠」/遊仙窟の「うたかたも」/万葉集の「うたかたも」/万葉の「うたかた わが背」/「うたかた花」「うたかた人」—古今六帖と源氏—/「うたかたも」論のさまざま/「うつたへに」と万葉集/平安期の「うつたへに」/結びー「不必」の訓—/雨莫(な)零行年(そね) ●枕詞からの問題語の究明 枕詞の問題語についてー清音と濁音—/「玉くしげ芦毛」/「衣袖あしげの馬」/「夏麻引く海上瀉」/「うなかみ」と夏麻 /「うなひ」と「神奈備」—ヒ甲とビ乙—/「夏麻引くうなひを差して」/ウナヰ・小放り・うなひ/ウナヒの意味/童の髪(ウナヰ)から成人の髪(ハナリ)へ/「よぢ子」から「うなひ」へ/卯名手の森/ウミとウナとの交渉/紀歌謡120斉明の歌「ウナ・クダリ」/同上歌謡についての土橋説/神武の歌の末句「ヱネ」と「ウウ」/「ナミ」(波)と「ナサ」(波驚き)/「渡つ海」の潮汐・海流とその神霊視/「ウナヅ」「ウナサカ」/ウナとウミの交替説/「夏麻引く命なづみて」/「なづみて」の例歌/「息の緒に」/「命に向かふ」/「あな気衝かし」/「憂ひは緒を成す」/「気の緒に」の例歌—第二期—/「気の緒に」の例歌—第三期—/「気の緒に」の例歌—第四期—/冒頭の歌「刈りこもの心もしのに」(3255)—今までの解釈—/「しなふ」と乱ル・乱フ・繽紛/旧来の説への山崎氏の批判をめぐって/「心モ乱レテ」説の検証 ●「くすむ」の深意 初出一覧 あとがきにかえて
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