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日本古代恋愛文学史

吉田 幹生  著

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価格 \9,680(税込)         

発行年月 2015年02月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 441p,10p
大きさ 22cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/日本文学
ISBN 9784305707598
商品コード 1017333361
NDC分類 910.23
基本件名 日本文学-歴史-古代
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2015年04月2週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1017333361

著者紹介

吉田 幹生(著者):1972年京都府生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程退学。成蹊大学文学部准教授。博士(文学)。

内容

〈待つ女〉の誕生と展開 歌垣を出発点に源氏物語後の 平安後期物語手前まで深化する文学の流れをとらえる。 男の愛情を肯定する男性作家による時代から 不信感を増大させる女性中心の文学へ。 最終的に〈執着〉という男女共通の苦悩へ至る道筋を読み解く。 作品の微細な表現分析と巨視的な構想把握を駆使して描く まったく新しい文学史。 中国文学と接することで倭は抒情表現を獲得し、挽歌、相聞歌が生まれた。歌垣を始原とする古い時代の相聞歌は対詠性が強く機智的な言葉の応酬であったが、人麻呂歌集は一首単独で採録し、内省的な抒情歌の発達につながっていく。人麻呂は石見相聞歌などにて恋人や配偶者の不在を嘆き、恋する感情を直接的に表現するのではなく、逢えない悲しみを強調する道も切り拓いた。 内省化を進める恋愛文学は、特に女性を主体としたときに相手の心変わりという問題を手繰り寄せることになり、『万葉集』から『古今和歌集』へと引き継がれる。それを背景に造型されたのがかぐや姫の人物像である。 『竹取物語』では愚かしいまでの人間の恋心が浮き彫りにされつつも、『伊勢物語』『落窪物語』とともに男の愛情を最終的には肯定的に描いていた。反対に『蜻蛉日記』では男の心が頼りにならないことを突き詰めていく。 一方で『うつほ物語』は初めて男の一途な恋心がもつ負の側面を顕在化させた。これ以前は好色さが非難されることはあったにせよ、恋心じたいが反省的に捉え返されることはなかった。さらに進んだ『源氏物語』では、女たちが自らに向けられた男の執着とどう向き合うのかという課題が浮上する。 恋する人間は救われるのかーー『源氏物語』は恋の妄執に取り憑かれた男女の苦悩をさまざまに描き込んだが、ついにその救済を描くことはなかった。 十一世紀以降の恋愛文学史はそれを乗り越えることができず、恋心(恋愛)と道心(仏教)との対立の構図を潜在させながら停滞していく...... 【六条御息所を「待つ女」と捉えたことを出発点として、私の研究は〈待つ女〉という文学的素材の誕生や展開を解き明かそうとする方向に向かうことになった。...額田王論や...『竹取物語』論はそのような展望のもとに書いたものである。そして...『蜻蛉日記』論を踏まえて、額田王歌─(大伴坂上郎女「怨恨歌」)─かぐや姫─道綱母─六条御息所という系譜を軸として、日本古代の恋愛文学史を記述しようと試みた...その後...人妻論を書いたあたりを契機として、私の研究は男の恋の問題にも関心を拡大していくようになる。その過程で、十世紀の恋愛文学史を構想していた頃...『うつほ物語』から『源氏物語』への展望を獲得することができた。そして...宇治十帖論を書く過程で、〈待つ女〉の展開をめぐって浮かび上がってきた〈我が心〉の問題と人妻論以降考えてきた男の恋心という問題とが、結局は執着という同じ課題…

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