内容
長期記憶過程とは、自己相関関数がべき関数で表され、相関が長期にわたって持続する過程のことであり、相関が時間とともに指数関数的に消滅する短期記憶過程と区別されている.イギリスの水理学者ハーストのナイル川の水位の研究が発端となり、その後、金融データ、脳波、ウェブサイトのリクエスト数など、多くの事例に見られており、その必要性は近年、ますます高まっている.
本書では長期記憶過程の理論と応用に関して、歴史的考察から、非線形システムの特徴としての長期記憶に関する最新の展開までを、さまざまな実例をもとにして、詳細に解説している.部分的に扱っている例を除けば、長期記憶過程に関してまとめられた初めての邦書となる.