内容
ひもを結ぶと,結び目ができる。結び目に対して定められる値で,結び目を変形することに関して不変であるようなものを不変量という。不変量を用いて,様々な結び目のタイプを区別することができる。 1980年代を境に,数理物理的手法がトポロジーに導入されて,3次元トポロジーにおいては膨大な数の不変量が発見され,その豊かな世界が改めて明らかになった。また,結び目の不変量をめぐる研究は,数理物理や量子群やKZ方程式などのさまざまな周辺分野と関連して大きな広がりを持っており,その研究分野は量子トポロジーとよばれている。本書では,量子トポロジーにおける様々な結び目の不変量やこれに関連するトピックについて初歩から最先端の内容までを解説し,「結び目の不変量」の豊かさや広がりを紹介する。