著者紹介
ソン・ウォンピョン(著者):ソウル生まれ。西江大学で社会学と哲学を学び、韓国映画アカデミーで映画演出を専攻。多数の短編映画の脚本、演出を手掛け、「シネ21映画評論賞」、「科学技術創作文芸・シナリオシノプシス部門」を受賞。2020年には長編映画監督作品『侵入者』(邦題『食われる家族』) が公開された。 文壇デビュー作となった長編小説 『アーモンド』 (2017) は、 第10回チャンビ青少年文学賞を受賞。 続いて出版された 『三十の反撃(2017) は、 第5回済州4・3平和文学賞を受賞している。 他に、 短編小説集 「他人の家』 (2021)、児童書『威風堂々キツネの尻尾(1)、(2)』 (2021、2022) がある。
邦訳版『アーモンド』 (矢島暁子訳、 祥伝社)で2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位を、 続く邦訳版『三十の反撃』 (矢島暁子訳、 祥伝社)で2022年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞。
矢島暁子(翻訳):学習院大学文学部卒業。高麗大学校大学院国語国文学科修士課程で国語学を専攻。訳書に『アーモンド』、『三十の反撃』のほか、チョ・ナムジュ『ミカンの味』、イ・コンニム『世界を超えて私はあなたに会いに行く』、イ・ギュテ『韓国人のこころとくらし――「チンダルレの花」と「アリラン」』、キム・エランほか『目の眩んだ者たちの国家』、洪宗善ほか『世界の中のハングル』がある。
内容
この恋が永遠でないことを知っている。
けれど感じることができるのは現在だけだ。
『アーモンド』『三十の反撃』の著者が贈る、
四人の男女の、揺れ動く心の移ろいを繊細に描いた、大人の恋の物語。
ひとつの恋が終わると、すぐに次の「愛する人」を見つけてしまうイェジン。 「いい人」とよく言われるものの、他人と一定の距離を保つドウォン。離婚した元夫と、不毛な逢瀬を重ねつづけるジェイン。自らを危険人物とみなし、恋愛とは無縁な人生を歩んできたホゲ。
同じ建物で働くイェジンとドウォンは、休憩時間に互いを知るようになり、ジェインのベーカリーでアルバイトをするホゲは、オフ会でイェジンと知り合った。偶然四人が出会ったとき、ドウォンとジェインが十年ぶりの再会を果たし…。
「普通の恋愛小説とは違うものにしたかった。ナイーブな失敗を重ねて迷いながら成長していこうとする、不安な若さを描きたかった」
――ソン・ウォンピョン
過去の傷や闇を抱えた四人の男女が、人との出会いを通して自分を見つめ直し、成長してゆく姿を繊細に描いた、大人のための恋愛小説。