内容
「更紗」とはインド発祥の染色技法(プリント)。15世紀から17世紀にかけての大航海時代に、インドから東南アジア、中近東、ヨーロッパ、中国、日本などに広がり、手描きの細密な柄や版を使ったモチーフものなど、国や地域により様々な技法が生まれました。ことにインド更紗は、日本でも人気のリバティプリント、ウイリアム・モリス、印花布などの元になったといわれ、最近のテキスタイルブームで、日本のアパレルブランドや染織作家による更紗柄のアイテムも多く出回っています。
本書では、源流であるインド更紗をはじめ、シャム更紗、ペルシャ更紗、ジャワ更紗(バティック)、ヨーロッパ更紗、和更紗といった世界の更紗の文様デザインを余すことなく収録。これまであまり知られてこなかった、時代背景や文化、歴史にまつわる解説が、著者ならではの視点で語られています。
さらに、現代インドに受け継がれている更紗技法から、バティック、和更紗の技法もわかりやすく紹介し、デザイナーが活用しやすい木版図案も多数収録。
プロの染色家や研究者に向けた専門書、技法書としてはもちろん、テキスタイル、染織、手仕事に興味がある人も楽しめる、保存的、資料価値の高い内容となっています。また当社の『インドの更紗手帖』(田中敦子著)と併せて読めば、より更紗の世界、理解が深まります。