内容
古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』に説かれる神の歌「バガヴァッド・ギーター」。獄中のマハートマ・ガンディーは、この聖典の精髄を人びとにわかりやすく示すため、18通の手紙を書き送った。ガンディーは冒頭に述べる。「『マハーバーラタ』も『ラーマーヤナ』もともに歴史物語ではなく、宗教書である。また、わたしたちがそれらを歴史書と呼ぶとすれば、それは人間の魂(こころ)の物語を記したものだからである。すなわちそれらは、何千年も昔に起こった出来事を伝えるものではなく、今日もすべての人間の心に生起することを述べている。両書ともに、神と人間のうちなる悪魔の永遠の戦いを物語っている。『ギーター』はこれを、アルジュナとクリシュナの対話の形式で伝えている。」と。現代インド思想・文学の碩学、故・森本達雄名城大学名誉教授の遺作となった訳業を、森本素世子東海学園大学教授が補訂。