著者紹介
マルレーヌ・ラリュエル(著者):フランス出身の研究者。専門は国際政治・政治思想。フランス国立東洋言語文化学院で博士号取得。現在、アメリカのジョージ・ワシントン大学ヨーロッパ・ロシア・ユーラシア研究所所長、同大学教授。研究対象はロシアおよび旧ソ連地域。特にイデオロギーとナショナリズムに詳しい。現在の研究テーマは、ロシア国内のイデオロギー情勢と国外への拡散。著書にRussian Nationalism. Imaginaries, Doctrines and Political Battlefields(London: Routledge, 2018)、Russian Eurasianism: An Ideology of Empire (Washington D.C.: Woodrow Wilson Press/Johns Hopkins University Press, 2008) ほか多数。フランスやロシアでも翻訳出版されている。
浜 由樹子(翻訳):静岡県立大学大学院国際関係学研究科准教授。上智大学外国語学部ロシア語学科卒、津田塾大学大学院国際関係学研究科後期博士課程満期退学の後、博士(国際関係学)。
主な著書に『ユーラシア主義とは何か』(成文社、2010年)、”Eurasianism Goes Japanese: Toward a Global History of a Russian Intellectual Movement”(Mark Bassin, Sergey Glebov, and Marlene Laruelle eds., Between Europe and Asia: The Origins, Theories, and Legacies of Russian Eurasianism, University of Pittsburgurgh Press, 2015)、翻訳書に『ロシアのオリエンタリズム――ロシアのアジア・イメージ ピョートル大帝から亡命者まで』(デヴィド・シンメルペンニンク・ファン・デル・オイェ著、成文社、2013年)がある。
内容
冷戦終結から30余年、欧米主導の一極化した国際秩序への反発から、世界各国で反リベラリズムの潮流が湧き起こっている。そんな中、プーチン・ロシアは、ウクライナへの軍事的干渉、クリミアの併合をはじめ旧ソ連の周辺諸国に対して軍事的圧力をかけるなど強権的な言動をとり続け、国際秩序に揺さぶりをかけている。そのようなロシアの行動は、西側諸国からファシズムと批判されている。本書は、「ファシズム国家」とのレッテルが貼られるロシアを、幅広い視野から冷静に分析、プーチン体制の構造とロシアの地政学的戦略をわかりやすく読み解く。今のロシアを、そしてヨーロッパの将来を占うための必読書であり、混迷する国際情勢の分析にとって貴重な手がかりとなる作品である。