新さかなの経済学~漁業のアポリア~
山下 東子 著
著者紹介
内容
目次
序章 漁獲量はなぜ減ったのか:マイワシバブル 第1章 規制改革:サバのIQ はじめに 漁獲の8割がTAC下に TAC魚種は流動的 サバへのIQ割当 IQ融通の実態 ITQ化で市場メカニズムを活用 過去実績:現実的な割当方法 過去実績の配分がもたらす諸問題 漁業者の不満は行動経済学が説明 棚ぼた問題:レントの行方 オークション:机上の空論 自己査定型資産税の適用 IQは後戻りが難しい 第2章 漁業権:桃浦牡蠣の陣 はじめに 三種類の漁業権 採貝藻は共同漁業権 大型定置は定置漁業権 養殖は区画漁業権 地元優先から経営手腕優先へ 優先順位の変更 企業アレルギーの素をたどると…… 桃浦牡蠣の陣 戦に勝って勝負に負けた 新規参入の成功例:マグロとサーモン 養殖漁場は空いているのか 漁場は空いていない 戸倉のシンデレラ・ストーリー 漁業権の壁が守るもの 外資規制とトリプルスタンダード 第3章 所得向上に大義はあるか:漁業者という資源 はじめに 使命は国民への水産物の供給 漁業者主体という使命の終わり 漁業の民主化という使命の終わり 所得向上という政策目標 経済メカニズムに委ねる解決法 漁業者こそが保存すべき資源 輸出振興と国内供給の板挟み 6次産業化と人手不足 良い補助金・悪い補助金 多面的機能という免罪符 海に境界線を引く 海は誰のものか カーテンの向こう側 第4章 外国人労働者:敵か味方か はじめに ルポ・漁業就業支援フェア 求人と求職のミスマッチ 外国人ならマッチング 海技士というハードル 技能実習生制度の問題と改正 特定技能へのキャリアパス 日本人と外国人を同質の労働者とみなすケース 日本人と外国人の技能に差があるケース 外国人船員が増えたら桶屋が儲かる? 労働生産性は停滞するか? 第5章 魚市場の謎:車海老の製品差別化 はじめに 小田原市場にて せり・入札、相対取引 抜け目のない民設市場 築地も物流センターだった オウンゴールの場外流通 情報公開と完全情報 車海老に見る価格差別化 価格差別化と消費者余剰 車海老に見る製品差別化 第6章 生物多様性:ご当地サーモンがやってきた はじめに シロサケ(秋鮭)の一生 イクラと白子で待遇に違い ふ化事業に負のスパイラル 生物多様性への配慮 ネコマタギの復権 世界の主流は養殖生産 チリギンと宮城産銀ザケ ご当地サーモンがブームに サケにオランダ病? 成長産業化への課題 第7章 資源ナショナリズム:マグロは誰のものか はじめに 何かと話題の太平洋クロマグロ マグロは共有資源だが…… 大間のマグロは一本釣り漁法 3つの市場の危うい均衡 近大まぐろへの期待と課題 近大の次は愛媛大か? ツナ缶界のキングはビンナガ FADsの功罪 小島嶼国の資源ナショナリズム 第8章 SDGs:太平洋島嶼国はカツオ街道 はじめに 太平洋島嶼での建国 島の陸地と海洋資源 200カイリ体制とカツオ資源 定額料金制のVDS カツオで潤う国家財政 MIRAB経済 沿岸漁業は家事の1つ SDGsに照らしてみれば 出稼ぎの功罪 島と海まで売りますか? 第9章 絶滅危惧種:うなぎの親子市場 はじめに ニホンウナギの天然サイクル ウナギの親子市場 ウナギ資源の減少要因 縮小する市場 絶滅危惧種ビジネス 陸揚げ後にウナギが国際移動 いつも食べているウナギの出自 良い密輸、悪い密輸 ウナギの採捕規制:シラスと天然ウナギ 「食べて増やそう」はいかがなものか 「増やして食べよう」はいかがだろうか 第10章 肉と魚:消費者の魚離れ はじめに 需要側と供給側の要因 平成期に肉が魚を代替 30~50代が魚離れ 平成期を通じて価格は安定 米は補完財から代替財へ 所得の増減と水産物消費額の減少 高齢化と肉・魚消費 嗜好の変化と需要曲線 時短志向と魚料理の敬遠 家事時間の短縮 調理済み食品へのシフト 供給曲線のシフト 魚離れは下げ止まるのか 第11章 魚あら:ゴミを宝に はじめに 非食用水産物の市場規模 魚あらと食品ロス 魚粉双六 魚粉ひっ迫で魚あらが代替 ふりだしに戻る 魚あら利用のドライバー 魚あらがお宝に変わるまで 製品の高度化・細分化と市場の縮小 鰹節屋の「練節」 魚あら処理の「経済性」 “やっ貝”なことは先送り 第12章 技術革新:スマート漁業への期待 はじめに ルーブリックを用いたICT化の進行経路 漁船漁業はすでに技術集約型 情報の蓄積と流通で双方が利益を享受 夢が膨らむ流通改革 ロジスティクスの最適化 養殖業とICT 水産ICTの波及効果 ICTでアポリアが消える? インターネット哲学
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