音楽祭の戦後史~結社とサロンをめぐる物語~
山本 美紀 著
著者紹介
内容
目次
序章 自分たちの祭り? 「この祭りは自分のものではない」/音楽祭の啓示――祝祭鏡 戦後日本の音楽祭/巡礼地大阪/現代における〈祭り〉の条件 第一章 流浪の民の音楽祭 亡国の音楽師/守銭奴か善人か/アジアの祝祭を差配する 流浪の民と祝祭/村山未知の旅/「国家的な政策に沿って」 トータルな視線/「桜音楽祭」構想/戦後日本を象徴するホール 第二章 音楽祭と大衆文化の間 一九五八年という時代/関西全域を巻き込む祝祭/古城の野外演劇 大坂城物語――日本大衆文化の提示/「巡り歩く」祝祭 「ダレのための」芸術祭か/大坂城物語のパラドクス 第三章 冷戦下の音楽祭――フェスティバルの東西対決 「音楽祭ブーム」/文化自由会議の政治性 露呈したオリエンタリズム/規範としての「西洋」 安保闘争の残響/「東寄り」の大阪 音楽祭の政治学/映し出された文化 第四章 神々の来阪 大阪に向かう吉田秀和/聴衆の成長/「初めて海を渡る」 ワーグナー兄弟の「複雑な音楽祭」/高まる祝祭ムード 日本の祭りに/吉田秀和の評価/神々の置き土産/朝日のブルジョアぶり? 第五章 祝祭の黄昏――サロンと大衆の分極 混迷深める万博協会/カラヤンの意向/万博へ吸収される 「帝王」を拝む/村山サロンのコンサート 「すばらしい“日本の聴衆”」/祝祭の時代の終わり 第六章 前衛と祭り 「戦後」という状況/現代の二重性/軽井沢という場所 四人の作曲家たち/吉田・岩淵・森/小さな事件 類まれな祝祭ムード/聴衆との亀裂――エリート意識の露呈 「日本の前衛について」/私的グループの公的音楽祭/祝祭感の喪失 行政との共催/「もはや別物」/終焉の理由 祝祭都市軽井沢/前衛と祭りの相克 第七章 結社と場所の社会学 「新しい耳」の必要性/現代音楽祭との類似――結社からのスタート 「よそ者」の音楽祭/「町おこし」による併呑/秋吉台から武生へ 打ち上げ花火として/市民の音楽祭へ/細川俊夫の起用 開かれた音楽祭とその敵?/「失われた記憶」――オーナー感覚の深層 第八章 祭りの後の祭り 「多くの人と共に」の意味/接触地点であること 祝祭はひとりでに/祭りの後/翳り/「村山騒動」以後 聴衆の素顔/大阪を映す鏡 第九章 バブルと音楽祭 聖性と日本文化/文化はおにぎり以下?/全国調査 音楽祭の実際/豊かさの確認装置 終章 グローバルな箱 自己理解と消費の間/祝祭という箱物 グローバル化と文化/祝祭は不滅である あとがき/註/索引
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