内容
「自然界の貴族」の文化誌 古くから人間は、この機能美の極致ともいえる最速のハンターとその豪快な狩りに魅せられてきた。とはいえハヤブサと人間との関わりの歴史は、順風満帆とはいいがたいものだ。 ハヤブサは世界各地の神話で神となりトーテムとして崇拝され、鷹狩りに用いられる鳥のなかで高い地位を占めるかと思えば、ひとたび鷹狩りが西洋で人気を失うと、狩猟の獲物の天敵として時には目の敵にされた。『ゲド戦記』や『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』をはじめとする文学や映画のなかでは、荒々しい野生や自由・自立の魂の象徴として、またそれらの問題に直面した子どもに寄り添う守護動物として描かれた。20世紀には、大戦中に双方の陣営が実際にハヤブサの軍事利用を試し、アメリカでは国防総省やミサイル基地がハヤブサの研究や保護と接点をもつことになった。 そして各国で都市の鳥となった現在、ハヤブサと人間の関係は新たな段階を迎えつつある―― 全米大ヒット作『オはオオタカのオ』の著者による、「自然界の貴族」の文化誌。カラーおよび白黒図版、約100点収録。