著者紹介
小林 康夫(著者):東京大学名誉教授。専門は、現代哲学、表象文化論。
1950年、東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(比較文学比較文化)博士課程単位所得退学、1981年パリ第10大学にて博士号取得(テクスト記号学)。2002年から2015年までUTCP(University of Tokyo Center for Philosophy)の拠点リーダーをつとめた。
著書に『表象の光学』(未来社)、『君自身の哲学へ』(大和書房)、『〈人間〉への過激な問いかけ』(水声社)、『死の秘密、〈希望〉の火』(水声社)、『若い人のための10冊の本』(ちくまプリマー新書)、『絵画の冒険』(東京大学出版会)、『こころのアポリア』(羽鳥書店)、『起源と根源』(未来社)など多数。編著も『知の技法』、『知の論理』、『知のモラル』(以上、東京大学出版会)など多数。また、ジャン=フランソワ・リオタール『ポストモダンの条件』(水声社)、『マグリット・デュラス『緑の眼』、共編訳の『フーコー・コレクション』全7巻(筑摩書房)などの翻訳も多数ある。
内容
波打つ〈森〉を彷徨いつつ、超実存に向かって――
『知の技法』の編者として知られる著者が、長年取り組んできたこのテーマを、さらにその先へ進める。
「存在とは何か」――この問いを量子力学的な波動論、あるいは数学の複素数論と結びつける方向へチャレンジしようとしました。(中略)それぞれの特異な個人の「存在の冒険」に問いかけるという、わたしのこれまでの仕事の中核に秘められていた問いに、正面から、向かいあってみようとした。(中略)深い溝に、まるで「丸木橋」のように、ひとつの「橋」を渡してみようとしたのです。
(はしがきより)
〈本書の構成〉
序章 知を通して世界を愛す
第1章 「存在とは何か」が浮上する歴史的界域
第2章 実存の彼方を目指して
第3章 ファンタジック存在論
第4章 四元的世界観へ
終章 コーダ、〈幹〉ではなく