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戦争ストレスと神経症 新装版
エイブラム・カーディナー
著
中井久夫,
加藤寛
翻訳
発行年月 |
2024年02月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
13p,378p,6p |
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大きさ |
21cm |
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ジャンル |
和書/生命科学、医学、農学/神経・精神科学/神経・精神疾患 |
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ISBN |
9784622096870 |
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商品コード |
1037970106 |
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NDC分類 |
493.74 |
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本の性格 |
学術書/実務向け |
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新刊案内掲載月 |
2024年03月5週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1037970106 |
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著者紹介
エイブラム・カーディナー(著者):(Abram Kardiner)
1891年ニューヨーク生まれ。コーネル大学医学部卒業後、精神分析学・精神医学・文化人類学の研究に従事。1921年にはウィーンに渡りフロイトの教育分析を受け、その後フロイトはじめ、アブラハム、フェレンツィ、ハンス・ザックス、ローヘイムの講義などに出席、帰国後ニューヨーク市ブロンクス区の第81合衆国復員軍人病院外来のAttending spicialistとなり、戦争神経症患者を3年間診察、本書の臨床的基盤となる。他方で文化人類学のセミナーを長くつづけた。その分野での基本的著書には『個人とその社会』(1939)がある。その後コロンビア大学、エモリー大学教授を歴任した。1981年歿。本書の初版『戦争の外傷神経症』は1941年に刊行、第二次大戦後にスピーゲルの助力をえて1947年に本書が刊行され、PTSD概念の基礎を世に残した。1981年歿。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
中井久夫(翻訳):(なかい・ひさお)
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。2022年歿。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義――分裂病私見』(1998)『徴候・記憶・外傷』(2004)『サリヴァン、アメリカの精神科医』(2012)『統合失調症の有為転変』(2013、以上みすず書房)ほか多数。訳書としてみすず書房からは、サリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)などが刊行されている。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
加藤寛(翻訳):(かとう・ひろし)
兵庫県こころのケアセンター センター長。著書に『災害とトラウマ』(分担執筆、みすず書房、1999)『消防士を救え!――災害救援者のための惨事ストレス対策講座』(東京法令出版、2009)『心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ』(共著、講談社、2011)など。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
内容
〈戦争神経症の歴史は、精神科医と一般公衆との移り気に翻弄されてきた歴史である。第一次大戦直後の非常な関心はまもなく腰砕けになってしまった。平和時の神経症と違って、戦争神経症の研究は断続的で、それも気のない研究が多い。研究はバラバラに行われ、そのために手ひどい混乱が起こっている。…戦争のストレスによる症候群は一つしかない。…たしかに戦時特有の障害も多く、それは軍事精神医学の対象とするのが適当であるが、戦争神経症はそうではない。あらゆる社会のあらゆる人間に共通な性格と神経症とが戦争という強烈なストレス下に、非常に多くのヴァリエーションを生み出す。このことは臨床上も学問的にも重要である。…本書は戦争に特有の一症候群の研究を行おうとする。それは外傷神経症、シェルショック、戦闘消耗と同一のものである。すべて、戦争のストレスに続発する共通の後天的障害である〉
J・ハーマンが『心的外傷と回復』で何度も参照するなど、PTSD概念の礎石を築いた本書(初版1941、第二版1947)は、戦争神経症への専門家の座右の書であるばかりか、PTSDとは何か、さらには戦争の惨禍が何をもたらすのかを考えるための、類例のない書である。第一次世界大戦を主に扱いながら、現在のイラク戦争や自衛隊派遣など、危急の問題にも対応できる基本文献である。著者の「戦争の外傷神経症」(1959)を付録とし、併せて中井久夫による「訳語について」等を巻末に付した。