著者紹介

内容

目次

はしがき 序　章　財政学批判としての比較財政史（井手英策） 　　　——財政社会学の方法的豊富化のために 　第Ⅰ部　危機を不可視化する財政金融システム 第１章　現代日本における政府債務の受容構造（木村佳弘） 　　　　——中央銀行の法的独立性と財政赤字の「相関」検証 　1　課題の設定 　2　財政赤字と「中央銀行の独立性」の関係 　3　現代国債引受構造の形成——70年代末における「政府の財布」 　4　新日銀法下での日銀引受と国債保有構造の変容 　5　財投制度の解体と「財融債」の圧縮を通じた国債協力 　6　大量国債低利発行を可能にした要因とその影響 第２章　ドイツにおける債務累積回避的な財政金融構造の形成過程（嶋田崇治） 　　　　——日本との対比 　1　課題の設定 　2　起債に関する法制度 　3　財政状況の推移と有価証券の保有主体 　4　財源調達に関する構造的特質の形成 　5　ブンデスバンクが得た「教訓」 第３章　ブラジルにおける財政金融システムの変化と財政収支の改善（水上啓吾） 　　　　——対外債務の返済と「自由化」政策 　1　ブラジルにおける政府部門と財政金融システム 　2　政府系金融機関から民間金融機関へ 　3　インフレ抑制政策と国際収支危機 　4　財政再建下の財政金融システム 　5　国際収支の制約と財政収支の改善 関説　財政をファイナンスする構造がどのように異なるのか（木村佳弘） 　第Ⅱ部　統制と協調の政府間財政関係 第４章　日本における地方財政赤字の形成（宮崎雅人） 　　　　——政府間財政関係の制度分析 　1　90年代における中央政府の政策動向と地方財政の悪化 　2　地方財政計画 　3　租税統制 　4　国庫補助金による誘導と地方交付税による財源保障 　5　起債統制 　6　地方財政計画の頑健性 第５章　オーストラリアにおける財政再建（橋都由加子） 　　　　——政府間財政の視点 　1　問題意識 　2　政府間の財政構造 　3　連邦財政政策の政府間財政への反映 　4　州の対応と州財政への影響 　5　ミクロ経済改革と連邦と州の協調 　6　財政再建における政府間財政の働き 第６章　スウェーデンにおける地方財政規律（高端正幸） 　　　　——普遍主義的福祉国家の政府間財政関係 　1　地方財政規律は何によって生み出されるのか 　2　地方財政制度の財政規律 　3　団体自治・住民自治と福祉国家の統治戦略 　4　福祉国家の統治戦略と協調型政府間関係 関説　財政規律と政府間財政関係の協調的関係（高端正幸） 　第Ⅲ部　民主主義を変えるための予算制度改革 第７章　日本の予算制度におけるシーリングの意義（天羽正継） 　　　　——財政赤字と政官関係 　1　日本の財政赤字と予算制度 　2　シーリングの導入 　3　シーリングと政官関係 　4　政治の変容とシーリング改革 　5　マクロ的予算編成とシーリング 第８章　アメリカの財政再建と予算制度改革（谷　達彦） 　　　　——ＧＲＨ法から90年包括予算調整法へ 1　アメリカの予算編成過程 2　ＧＲＨ法の導入と失敗 3　90年包括予算調整法の導入 4　財政再建過程における予算配分の変化 第９章　スウェーデンの財政再建と予算制度改革（伊集守直・古市将人） 　　　　——96年予算法制定を中心に 　1　課題の設定 　2　90年代の経済危機と社民党政権による財政再建 　3　予算制度の展開と改革への道程 　4　96年予算法制定による予算編成過程の改革 　5　財政民主主義を機能させる予算制度の構築に向けて 関説　日本の予算制度の国際的特徴（天羽正継） 　第Ⅳ部　普遍主義化の多様性 第10章　日本における財政赤字形成と社会保障財源選択（古市将人） 　　　　——国際比較による帰結 　1　社会保障財源の国際比較と日本の財政赤字 　2　社会保障関係費と消費税収使途の分析 　3　日本の福祉政策における普遍主義の展開過程 　4　日本における税制改正と社会保障財源調達政策の帰結 第11章　ドイツにおける社会保障制度の変容と財政問題（福田直人） 　　　　——ハルツⅣ改革と社会保障財政再編 　1　ドイツ社会保障制度への視点——問題意識と課題 　2　ドイツにおける社会保障制度の変遷 　3　失業保障及び公的扶助改革と財政問題 　4　大連立政権における増税と失業保障 　5　ドイツ社会保障財政改革の帰結と課題 第12章　ニューレイバーの「新しい」福祉国家路線とウィンドホール・タックス（佐藤　滋） 　　　　——ベヴァリッジ型普遍主義から中流階層化型普遍主義へ 　1　「新しい」福祉国家の創設 　2　ベヴァリッジ型普遍主義から新しい「普遍主義」へ 　3　ニューレイバーの政策体系—ワークフェアの展開とウィンドホール・タックス 　4　ニューレイバーの歴史的位置とその限界 関説　社会保障支出と財源調達との関係と日本の国際的位置（古市将人） 　第Ⅴ部　増税を可能にする条件 第13章　なぜ日本は増税できなかったのか（野村容康） 　　　　——戦後租税政策の形成過程 　1　90年代以降の税収低迷 　2　戦後日本の租税政策 　3　消費税導入への道 　4　消費税導入後の租税政策 　5　増税の合意形成に向けて 第14章　付加価値税なき国、アメリカの増税政策（吉弘憲介） 　　　　——租税の公平性を中心に 　1　付加価値税なき国の財政再建 　2　アメリカ連邦税制の構成と消費型付加価値税 　3　90年所得税増税の政治過程 　4　90年代増税と二つの公平性の重要性 第15章　一般社会税（ＣＳＧ）の導入過程の考察（小西杏奈） 　　　　——90年代のフランスにおける増税 　1　課題設定 　2　90年代フランスの租税政策の概要—一般比例所得税の新設 　3　80年代の理論的潮流—新社会党政権の方針 　4　社会保障財源としての一般比例所得税制の正当性——「第九次計画」委員会の改革案 　5　ＣＳＧ導入の政策意図と導入をめぐる政治的対抗——連帯省と財務省 　6　抜本的改革のための説得—首相府の果たした役割 　7　ＣＳＧのその後の展開と評価 関説　アメリカ・フランスの租税史から何を学ぶことができるか（野村容康） 終　章　なぜ赤字は生み出され、累積したのか（井手英策） 　　　　——財政赤字の日本的特質 索　　引