内容
出来合いの思想や用語をつかわず、先入観を捨て、センチメンタルにならず、東ドイツ社会史の核心に迫る。ベルリンの壁、ハンガリー蜂起、プラハの春、ゴルバチョフの登場は、ひとびとにどのような影響を与えたのか。家族、ジェンダー、住環境、そして労働状況等を追い、消費習慣や余暇の過ごし方など、日常を描ききる。踏み入れがたい鬱蒼とした東ドイツ社会に分け入る1989年までの前史。
目次
日本語版への序文
序文
第1章 「ロシア人がやってくる」
東ドイツのひとびとは戦争と戦後をどのように体験したのか、
その結果はどうだったのか
第2章 復興と反乱
東ドイツのひとびとはどのようにして新しい家や町へうつり、
その正当な利用法をめぐって当局とどのように争ったのか
第3章 出発と改革
近代化はどのように東ドイツのひとびとのもとにやってきて、
さまざまな矛盾を引き起こし、やがて勢いを失っていったのか
第4章 危機と社会参加(アンガージュマン)
東ドイツの社会はなぜこれほどたびたび危機にみまわれながら、
そこからほとんど何も学ばなかったのか
第5章 若者と老人
出発の成功を約束してくれた要素が、
なぜ失敗を助長することになったのか
第6章 権力と威信
個人的な望みがどのようにして社会的な期待から離れていき、
幸福と自由の新しいイメージをつくりあげていったのか
第7章 労働者的社会
東ドイツの社会ではなぜ労働者が社会的、文化的に優勢で、
政治的な不平等からさえも利点を引き出すことができたのか
第8章 物と生活
物による人間支配がなぜ歯止めのきかないものにならなかったのか、
またひとびとは豊かさをどのようにとらえていたのか
第9章 形式と魂
礼儀作法や真の愛について専門家はどう考え、
ひとびとはそれをどう受けとめていたのか
第10章 ヌード、セクシュアリティ、パートナーシップ
東ドイツでは性の自由化というテーゼが
なぜ限られた意味しかもたなかったのか
第11章 謀略と裏切り
統治する側はどのように統治される側の助けを借りて支配をすすめようとし、
どのように拒まれ、それでも目的を達したのか
第12章 第三の世代
東ドイツの六八年世代はなぜ体制派とアウトサイダーに分裂し、
それがどのように一九八九年につながったのか