内容
現在逸文が伝わるのみだが、天皇が記した日記で最も古いものといわれ、重要視されてきた『宇多天皇御記』。そのなかから、関白藤原基経との政争である阿衡事件の経過や、宇多天皇が創始したとされる皇太子への壺切御剣下賜の由来など、「寛平の治」と讃えられる当時の宮廷の内幕を物語るさまざまな記事を丁寧に読み解く。【主な目次】序 章『宇多天皇御記』とは/『宇多天皇御記』の伝存と散逸後の逸文集成第一章 皇位継承を予告した鴨明神の託宣『御記』四箇条の読解/『大鏡』の説話とその考察/登場人物についての補説第二章 践祚から即位式まで践祚から先帝の大喪まで/即位式第三章 阿衡事件『政事要略』阿衡事の構成と事件の概略/『御記』の読解/改正詔書宣布からの事件の展開第四章 壺切御剣皇太子敦仁・崇象両親王への賜与/『御記』仁和五年正月十八日条逸文の解釈/『朝野群載』所収の「御剣銘」/『御記』逸文の「臣父」の比定をめぐって(付 載)『宇多天皇御記』原文