著者紹介

内容

目次

序章　本書の課題と構成 第1章　コーヒー危機——市場メカニズムと小生産者 I　はじめに II　コーヒー危機の要因 III　コーヒー・バリュー・チェーンの変貌 IV　チェーン内部での所得の配分 V　消費の差別化——脱一次産品化 （1）レギュラー・コーヒー （2）インスタント・コーヒー （3）缶コーヒー （4）ケーターリングやレストラン市場あるいは新たなタイプのコーヒー・ハウス （5）フェアトレード・コーヒー VI　インスタント・コーヒーの意義 VII　オルターナティヴ（1） VIII　オルターナティヴ（2） （1）品質観念の変革 （2）情報の透明性と生産者——消費者関係 （3）産地の重要性 （4）消費者行動の意味 第2章　市場統合とバナナ小生産者——EUとカリブ諸国 I　はじめに II　WTO体制とロメ協定の非両立性 III　EUのバナナ輸入制度 （1）一九九三年（市場統合完成）以前 （2）EU新共通バナナ輸入制度（九三年七月以降） （3）GATT提訴（九三年）とバナナ枠組み協定（九四年） IV　WTO提訴と裁定 （1）チキータの政治力とアメリカ政府 （2）パネル裁定 （3）置き去られたACP諸国 （4）改革への動き（九八〜九九年） （5）再提訴とアメリカの報復 （6）第二次パネル裁定（九九年四月） （7）カリブ諸国保護の方法論争 （8）アメリカでの状況 （9）アメリカ通商代表部の態度 （10）第二次裁定後のEUの方針 V　コトヌ協定（二〇〇〇年六月調印）と現状 VI　EUバナナ紛争がもたらしたもの （1）紛争の利得 （2）ACPにとっての米欧合意の意味 （3）地獄へ向かう競争 （4）EUの新自由主義的な姿勢 （5）EUの選択肢 VII　今後の展望 （1）競争力格差の縮小努力 （2）スーパーマーケットの市場決定力 （3）フェアトレード （4）有機栽培バナナ （5）カリブ・アイデンティティ （6）WTOとバナナ生産小国 VIII　むすびに代えて 3章　一次産品問題としての綿花問題の復活——輸出ダンピングと補償 I　はじめに II　ドーハ・ラウンド交渉の挫折 III　綿花市場の動向（綿花価格の長期低落の要因） （1）綿花の世界生産 （2）綿花の世界消費 （3）綿花の世界貿易 （4）世界綿花価格の動向 （5）構造変化 （6）政府補助金 （7）輸出ダンピング （8）結論 IV　WTOにおける綿花 （1）　綿花パネル裁定（ブラジルvsアメリカ） （2）　綿花イニシャティヴ V　コットン4における綿花 VI　綿花問題浮上の意味 VII　むすび 第4章　ジャマイカ楽園の真実——ネオリベラル改革と社会の解体 I　はじめに II　IMFに売り渡される III　IMF信託統治とその帰結 IV　債務の悪循環 V　社会の解体（社会的「内破」） VI　むすび 第5章　NAFTAの〈神話〉とメキシコ経済の現実——NAFTAの一四年 I　はじめに——問題設定 II　メキシコ・モデル III　NAFTAの〈神話〉と現実 〈神話〉（1）経済成長率——「NAFTAは輸出を通じてのメキシコの経済成長戦略に貢献する」 〈神話〉（2）輸出成長率——「NAFTAによって、輸出が伸び、対米貿易は大幅な黒字になる」 〈神話〉（3）外国投資——「大規模な外国投資の流入が発展ヘの期待と機会を生み出す」 〈神話〉（4）危機回復への貢献？——「NAFTAのお陰で九四年危機からの回復が早まる」 〈神話〉（5）経済安定化——「NAFTAはマクロの経済安定に貢献する」 〈神話〉（6）雇用と福祉——「NAFTAは雇用機会、賃金の上昇、福祉の改善をもたらす」 〈神話〉（7）貧困削減と環境保全——「NAFTAは貧困削減と環境保全に貢献する」 〈神話〉（8）国有化からの投資家保護——「NAFTAは国有化から投資家を保護する」 〈神話〉（9）不法移民——「NAFTAは、メキシコ経済を発展させることによって、不法移民を減少させる」 　補論1　メタルクラッド事件 　補論2　イエロービーン特許事件 IV　むすび 第6章　トルティージャ危機とNAFTA——農産物貿易自由化の帰結 I　はじめに II　世界食糧価格高騰 （1）世界食糧危機の直接原因 （2）食糧危機の根源 （3）南の農業システムの計画的な破壊 （4）工業的農業——食糧複合体という巨大独占体 （5）結論 III　NAFTAの下でのメキシコ農業（一九九四〜二〇〇七年） （1）競争力の弱さ （2）農産物貿易の赤字 （3）農産物輸出構造の国民経済的脆弱性 （4）穀物輸入の急増 （5）食糧自給の喪失 （6）国内農業の解体 （7）天然資源、環境、種への悪影響 （8）貧困の増加 （9）食糧価格の上昇 （10）国民経済に占める農業の地位の低下 （11）移民の増加と農村の崩壊 （12）結論 IV　二〇〇七年のトルティージャ戦争 （1）CONASUPOの解体と独占体の市場支配 （2）独占体による価格操作と投機 （3）独占間競争 （4）新自由主義NAFTAモデルの破産 （5）結論 V　NAFTA〈神話〉とその解体 （1）自由市場の〈神話〉 （2）比較優位の〈神話〉 （3）開発モデルとしての自由貿易の〈神話〉 （4）完全無欠で無謬な政策（あるいは懲りない政策）の〈神話〉 （5）〈神話〉からの脱出を！ VI　むすび 補論　新型インフルエンザはNAFTAインフルエンザである 補章　「アジアのラテンアメリカ化」再論——ラテンアメリカ学派のアジアにとっての意義 I　はじめに——アジアのラテンアメリカ化？ II　新自由主義グローバリゼーション時代におけるラテンアメリカ学派 （1）世界経済の非対称性（南北格差）の増加 （2）アジアNICs論争 （3）金融的脆弱性と従属 （4）技術的従属 （5）グローバリゼーションの制約と機会 （6）交易条件悪化ないし不等価交換による余剰の中心への移転 （7）グローバリゼーションと三極世界への移行 （8）周辺部の差異化と分裂 （9）周辺部の新たな工業センター III　アジアのラテンアメリカ化 （1）富と所得の分配の不平等化の進行 （2）国家の経済制度的機能の衰滅＝国家の権限と責任の放棄 （3）マクロとミクロの乖離、あるいは正確には経済活動の伝統的な国民経済的相互連関の切断 （4）産業の外資支配（民営化＝私有化とM＆A） IV　グローバル化的統合と〈国民経済の解体〉 V　むすびに代えて——アジアにとっての示唆 　追記 　あとがき 　初出一覧 　参考文献