和漢混淆文の生成と展開(研究叢書 576)
藤井 俊博 著
内容
目次
序章 一 本書の立場と目的 二 和漢混淆文についての記述 三 和漢混淆文の言語的特質 四 和漢混淆文の研究動向と本書の内容 第一部 連文による翻読語から見る和漢混淆の諸相 第一章 連文による翻読語の文体的価値―「見れど飽かず(飽き足らず)」の成立と展開― 一 問題の所在 二 連文と同義的結合の複合動詞 三 同義的結合の複合動詞の概観 四 「あきだる」の場合 五 翻読語と漢語サ変動詞の歴史的展開 第二章 『万葉集』における連文の翻読語―「春さりくれば」から「春されば」へ― 一 はじめに 二 翻読語と漢語の検討 三 まとめ 第三章 『続日本紀宣命』の複合動詞と翻読語 一 複合動詞の構成と連文 二 連文の訓読による複合動詞の検討 三 結び 第四章 『源氏物語』の翻読語と文体―連文による複合動詞を通して― はじめに 一 対象とする複合動詞と分類方法 二 長単位検索による複合動詞の概要 三 同義的結合・類義的結合・反義結合の複合動詞 四 『源氏物語』の翻読語の特質 五 並列形容語との文体面での連続性 六 まとめ 第五章 『源氏物語』における漢文訓読語と翻読語 ―「いよいよ」「悲しぶ」「愁ふ」「推し量る」「いづれの御時にか」― 一 はじめに 二 『源氏物語』に頻用される漢文訓読語「いよいよ」 三 漢文訓読語「悲しぶ」の和文・和漢混淆文での活用 四 漢文訓読語「愁ふ」とその翻読語 五 高頻度の翻読語「推し量る」 六 まとめ―(付)気づかない翻読語「いづれの御時にか」― 第六章 『今昔物語集』における翻読語と文体 一 はじめに 二 『今昔物語集』における複合動詞の翻読語 三 『今昔物語集』における翻読語の諸相 四 まとめ 第七章 『打聞集』における漢字表記の生成―連文漢語の利用をめぐって― 一 はじめに 二 『打聞集』の成立と漢字使用の問題 三 『打聞集』の表記への漢文の影響 四 『打聞集』の表記の多様性 五 連文を用いた熟字訓の表記 六 連文の応用による単漢字の表記 七 連文による翻読語と表記 八 「安持」と「持(おく)」の場合 九 おわりに 第八章 『平家物語』の翻読語と個性的文体―延慶本と覚一本の比較― 一 翻読語と文体の問題 二 『平家物語』の翻読語の概要 三 平安和文にも広く見られる語―「おしはかる」― 四 和漢混淆文に多く見られる語―「いでく」「いできたる」― 五 『平家物語』に特徴的に見られる語―「をめきさけぶ」「せめたたかふ」― 六 文体指標としての翻読語 第二部 和漢混淆文の語彙・語法 第九章 和漢混淆文の動詞語彙―『今昔物語集』の特徴語― 一 はじめに―『今昔物語集』の語彙と文体をめぐる研究史― 二 『今昔物語集』の高頻度語の特徴 三 漢文出典との比較から見る『今昔物語集』の語彙 四 『今昔物語集』の複合動詞の特徴 五 『今昔物語集』の漢語サ変動詞の特徴 六 『今昔物語集』の動詞の用法の特質 七 まとめ 第十章 「べし」の否定形式の主観的用法―「否定推量」の発生と定着― 一 「べし」の否定形式の問題点 二 「べし」の否定形式の主観性 三 「べし」の否定形式の推量用法 四 中古の「べし」の否定形式 五 中世の「べし」の否定形式 六 まとめ 第十一章 古典語動詞「う(得)」の用法と文体―漢文訓読の用法と和漢混淆文の用法― はじめに 一 問題の所在 二 用法の分類 三 「得」の意味用法と漢文訓読の影響 四 まとめ―文体指標としての「得」の用法― 第三部 和漢混淆文の文章構造 第十二章 『覚一本平家物語』の「き」「けり」のテクスト機能 ―枠づけ表現と係り結び― 一 本章の目的 二 『平家物語』の文章の分析方法 三 始発機能の表現 四 「にけり」「てんげり」の終結機能 五 「ぞ〜ける」の終結機能 六 「こそ〜けれ」の終結機能 七 「ぞ〜し」の終結機能 八 係り結びとテクスト機能 第十三章 『屋代本平家物語』の「き」「けり」のテクスト機能―覚一本との比較― 一 「き」「けり」の機能と『平家物語』の文章 二 「き」「けり」の概観 三 終結機能の諸相 四 まとめ 第十四章 過去・完了助動詞による枠構造の史的展開―国字本『伊曽保物語』への展開― 一 物語の始まりや終わりに用いる表現 二 テクスト機能を持つ古典語助動詞 三 物語言語における主体のあり方と「けり」の意味・機能 四 『伊曽保物語』に見る枠構造 五 おわりに 第十五章 『雨月物語』『春雨物語』の過去・完了の助動詞と文章構造 一 問題の所在 二 物語の文章構成とテクスト機能 三 過去・完了の文末表現と文章構造の問題 四 『雨月物語』『春雨物語』の文末表現の概観 五 『雨月物語』の文章構造と文末表現 六 『春雨物語』の文章構造と文末表現 七 『春雨物語』における過去の助動詞の機能 八 おわりに あとがき 索引(主要語句、事項・書名、人名)
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