内容
御師(おし)とは、特定の寺社に所属して、その社寺へ参詣者を案内し、参拝・宿泊などの世話をする者のこと。御師は街道沿いに集住し、御師町を形成する。
――世界遺産・富士山の北側の登山口にあたる山梨県富士吉田市には、富士山を参詣する人々の宿泊や食事の世話をはじめ、神職者として集落の神事や行事を長年支えてきた「御師(おし)」の人たちが住む御師町が今もたいせつに残されています。そこには富士山信仰を中心とした地域の年中行事や、富士山に育まれた自然観や生活観による独自の食生活文化が営まれています。
本書は、富士吉田の食文化について、御師の家に継承されている生活文化と料理を中心に、御師や関係者への聞き取り等を含めたさまざまな視点からの調査研究を、四季折々の美しい写真とともにまとめたものです。
御師の食文化を通じて、日本の生活文化や食事観、和食の基本にある「自然の尊重」への理解を深めていただければと考えています。