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坂本龍馬復権論と薩長同盟
山岡 悦郎
著
発行年月 |
2021年06月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
13p,193p |
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大きさ |
19cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/歴史学/日本史 |
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ISBN |
9784792414917 |
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商品コード |
1033267582 |
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NDC分類 |
210.58 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2021年08月1週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033267582 |
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著者紹介
山岡 悦郎(著者):山岡悦郎(やまおか えつろう)……三重大学名誉教授 歴史・思想研究者
内容
坂本龍馬は、今でも圧倒的な人気者である。
そして、龍馬ファンがすごいと思う彼の業績は、⒜亀山社中の創立、⒝薩摩藩名義による武器購入の発案、⒞船中八策の発案と大政奉還の実現、⒟薩長同盟の斡旋、の四つである。だが、大学等に籍をおく専門家は、これら四つをすべて認めない。それは、二〇一七年になされた「龍馬の歴史上の役割は大きくないから、彼の名前を教科書から除くべきだ」という高大連携歴史教育研究会の提言で明らかである。
確かに、これまでに、⒜〜⒞は間違いであることが示されている。だが、専門家は、十分な研究なしに、もっとも重要な⒟も否定している。⒟が正しいかどうかの評価は、薩長同盟で龍馬がどのような働きをしたかを十分に考察してから、なすべきだろう。この考察を行ったのが本書である。
さて、薩摩藩家老桂久武の日記に「(慶応二年〈一八六六〉)一月十八日に、薩摩側と長州側の会談が開かれた」と書かれている。これまでの研究では、この会談の内容を明らかにすることができなかった。そこで、筆者は、諸史料に、これまでに見られない新しい観点から光を当てることで、「十八日の会談では、禁門の変で長州藩に責任があるかどうかで、薩摩側の小松帯刀・西郷隆盛と長州側の木戸孝允は意見が対立し、この対立が解消されないまま、決裂状態で終結した」ということを明らかにした。
当然のことながら、木戸は、それ以上の会談を断念して、長州に帰ることにし、二十日に送別会を開くことも決められた。丁度、二十日、遅れて入京してきた龍馬が彼らの前に現れた。それ以前に、龍馬は木戸から、「半日も早く、京都に来てくれ」と頼まれていたのだ。この「依頼」が専門家によって取り上げられることは少ないが、筆者は、同盟締結の過程を考える時、きわめて重要な事柄であると考える。交渉がうまくいかない時は、木戸は、龍馬に助けて欲しいと考えていたかもしれないからだ。
木戸が懸念していたように、小松・西郷と木戸の交渉は決裂してしまった。しかし、木戸は何としても同盟を結びたかった。それまでの木戸との付き合いを通じて、龍馬は、木戸の心情を理解していた。また、自分に大いに期待していることも分かっていた。そこで龍馬は、木戸の言い分を聞き、それを小松・西郷に伝え、木戸の言い分を受け入れることが、薩長両藩のためだけでなく、日本全体のためでもあると説得した。
これが功を奏して、会談は再開され、二十二日に同盟は締結された。龍馬が登場しなければ、確実に木戸は長州に帰っていた。会談が再開され、同盟が締結されるに至ったのは、龍馬の説得があったためである。龍馬の働きなくして、薩長同盟は締結されなかった。
以上のことを、もっとも信頼できる一次史料を駆使して、しかも、それらに新しい分析を施すことによって明らかにしたのが本書である。龍馬の実相を知りたいという人のお役に立てれば、幸いである。(山岡悦郎)