性暴力被害の実態と刑事裁判
内容
目次
はじめに〔角田由紀子〕 ◇第1編 性暴力被害の実態◇ 第1章 データからみる性暴力被害の実態―判決で描かれる性暴力被害と実態との乖離 〔吉田容子〕 1 データからみる性暴力被害の実態 1 性暴力被害は暗数が多い (1) 強姦・強制わいせつの認知・検挙状況/(2) 相当に高い暗数の存在 2 被害者からみた性暴力被害の実態 (1) 内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査」/ (2) 内閣府男女共同参画局「パープルダイヤル~性暴力・DV電話相談~集計結果」 3 性犯罪の被害者の被害実態と加害者の社会的背景 (1) 内山の調査研究/(2) 被害者204名の被害状況/(3) 被疑者553名の状況 4 精神医学からみる被害の実情 5 強姦神話の蔓延 (1) 法律家の自覚の必要性と経験則/(2) 強姦神話/(3) 「思い込み」が判決の基礎に 2 判決で描かれる性暴力被害と実態との乖離 1 小田急事件―最高裁第3小法廷判決H21.4.14 (1) 公訴事実の要旨/(2) 争いのない事実/(3) 争点/(4) 原審等の判断/(5) 最高裁の判断/(6) 検討 2 千葉事件―最高裁第2小法廷判決平成23.7.25 (1) 公訴事実の要旨/(2) 争いのない事実/(3) 争点/(4) 原審等の判断/(5) 最高裁の判断/(6) 検討 3 おわりに 第2章 精神科医から見た性暴力被害の実態 〔宮地尚子〕 1 はじめに (1) 性暴力対策の遅れ/(2) 性暴力被害者にとっての司法と回復/(3) 本稿の目的 2 性暴力被害の実態と影響 (1) 事件の最中と直後の反応/(2) トラウマ後の反応/(3) 反応の性差 3 トラウマの重傷化と沈黙の悪循環 (1) 性暴力とPTSD の発症率/(2) 被害者はなぜ話そうとしないのか―沈黙のうちにトラウマが重傷化していく理由/ (3) わたしたちはなぜ被害者を黙らせてしまうのか―性暴力被害への偏見と誤解 4 今後の課題 ◇第2編 性暴力被害と刑事裁判◇ 第3章 性犯罪捜査の問題点―検察官の経験から 〔田中嘉寿子〕 1 はじめに 2 事例1 成人女性が自宅で被害に遭った場合 (1) 事件概要/(2) 被害申告経緯/(3) 警察における捜査経緯/(4) 検察官による捜査/(5) 示談交渉/ (6) 公判前整理手続/(7) 証人尋問/(8) 被害者参加 3 事例1から浮かぶ捜査の問題点 (1) 捜査初期段階からの被害者支援の必要性/(2) 被害者に配慮した物的設備の改善/ (3) 被害者の取調べに関するマニュアル・研修の必要性/(4) 被害者供述の信用性の判断基準 4 事例2 5 事例2から浮かぶ捜査上の問題点 (1) 児童相談所における性的虐待の調査と警察による捜査の違い/(2) 性的虐待事案における多機関連携の必要性/ (3) 司法面接法の応用とその問題点/(4) 性的虐待事件の捜査における多機関連携の有用性 第4章 事実認定における経験則とジェンダー・バイアス― 2つの最高裁判決の事例を中心に 〔神山千之〕 1 司法における経験則とジェンダー・バイアス (1) はじめに/(2) 各判決の事案の概要等/(3) 小田急事件最判,千葉事件最判における破棄判断の形式/ (4) 経験則についての千葉事件最判の考え方/(5) 経験則についての小田急事件最判の考え方 2 事例の具体的検討 (1) 小田急事件最判/(2) 千葉事件最判 3 ジェンダー・バイアスを克服するための手だて (1) 一般的知識の習得(研修等)/(2) 具体的事件における手だて 4 まとめ―2つの最高裁判決の積極的意義 【参考文献】 第5章 アメリカにおける性刑法の改革 〔斉藤豊治〕 1 コモンローの強姦罪とその批判 (1) コモンローの強姦罪/(2) 模範刑法典における微温的な改革/(3) 1970年代以降の改革 2 ミシガン州の性刑法改革次 (1) ミシガン州の旧法/(2) ミシガン州の改正の骨子/(3) ミシガン州の性刑法の犯罪類型 3 アメリカにおける性刑法の改革 (1) 性犯罪の定義の改正/(2) 暴力犯罪としての位置づけ/(3) 不同意性交の処罰/(4) 性中立化/ (5) コモンローにおける証拠法則/(6) レイプ・シールド法/(7) 同意年齢をめぐる改革/(8) 法定刑の改革 4 アメリカの性刑法改革の課題:不同意性交の犯罪化を中心に (1) 論文の概要/(2) 不同意性交の犯罪化の必要/(3) 欺罔による同意性交の犯罪化/(4) 強姦神話と欺罔 5 改革の効果に関する評価研究 (1) 改革の評価研究/(2) 事件処理が変わっていないとするもの/(3) 事件処理が変わったとするもの/ (4) 人々の意識の変化/(5) 顔見知りの間でのレイプ 6 日本法への示唆 (1) 日本における最近の法改正/(2) 日本法への示唆 ◇第3編 まとめ◇ 第6章 日本の法曹に対するジェンダーに関する継続教育の必要性 〔南野佳代〕 1 はじめに―ジェンダーに関しても公平な司法を求めて 2 法曹に対するジェンダー研修の必要性と意義 (1) 法曹に対する継続教育の位置づけ/(2) 法曹に対するジェンダー研修の位置づけ 3 各国法制度におけるジェンダーに関する法曹継続教育の位置づけ (1) 大陸法国/ (2) 英米法国/ (3) 法継受国 4 ジェンダー研修の内容と方法 (1) 司法におけるジェンダーバイアス/(2) 社会的文脈研修の一部としてのジェンダー研修 5 おわりに 第7章 性犯罪事件の刑事弁護活動 〔宮村啓太〕 1 弁護人の責務と性犯罪事件の特殊性 2 裁判員裁判事件における弁護人の主張の評価例 (1) 福岡地裁平成23年5月13日判決/(2) 大阪地裁平成22年3月17日判決/(3) 千葉地裁平成22年4月23日判決 3 被害者とされる証人の供述経過を検討する際の留意点 4 結 び あとがき〔角田由紀子〕 資料【性犯罪被害に関する事例一覧】
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