内容
名物蒐集と研究に情熱を注ぎ歴史的な茶道具図鑑を出版した史上稀なる茶の湯の巨頭
家康の血を引く出雲松平家の当主として生まれた松平不昧。
若くから茶の湯に目覚め、破綻していた松江藩(18万6千石)の財政改革に成功すると、膨大な名物茶器を購入した。その所持品リストを「雲州蔵帳」としてまとめ、茶器の研究をして分類・格づけし、『古今名物類聚』として出版した。また、自らの好み道具を多数作らせた。隠居後には、品川の1万8千坪にも及ぶ下屋敷に11の茶室を造って悠々自適に暮らし、天寿を全うした。
本書では、こうした不昧の事績を一つひとつ詳細に分析し、個人の嗜好を越えて、後世の茶の湯文化に与えた影響を再評価していく。付録には、不昧所持品リストである「雲州蔵帳」 (雲州名物)839点のうち588点、年譜、系図などを収録。