内容
定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationships, QSAR)は、化学物質の骨格的構造と薬学的あるいは毒性学的な生理活性との間になりたつ量的関係である。医薬品開発などの分野で、いくつかのパラメータを用いて構造的に似た化合物の薬効について予測し、創薬に結びつけることを目的としている。Corwin Hansch によって研究が始められ、1964年に Hansch と藤田稔夫が発表した方法が代表的な方法として知られる。
本書は、定量的構造活性相関領域における最も重要な手法である Hansch 法の基礎と応用について、そのすべてを解説した参考書である。著者の Hansch は、Hansch 法の創始者であり、Leo は Hansch 博士の最大の協力者の一人である。創始者によって執筆された本書は、Hansch 法に関する解説書の決定版としての内容を備えている。Hansch 法、特にその中心をなす分配係数の考え方は、現在、医薬品化学、農薬化学、毒物学、環境化学などの分野で広く応用されている。Hansch 法は、数学的には重回帰分析の応用である。そのため、初心者でも容易に理解でき、かつ適用範囲が広いのが特徴である。本書の応用編では、酵素-リガンド相互作用、薬物代謝、抗腫瘍薬、中枢神経系作用薬、抗微生物薬、農薬(除草剤、殺虫剤)などへの QSAR の応用が取り上げられている。本書は、医薬品化学や農薬化学などの創薬科学における古典的必読文献と言える。