学問で平和はつくれるか?
内容
目次
カラー口絵 序 章 新しい平和学のために——「わけ知り顔のリアリズム」を超えて [細見和之] はじめに 1 新しい平和学をもとめて 2 カントが考えた「永遠平和」 3 ホロコーストと原爆 4 わけ知り顔のリアリズムを超えて PART I 非日常のものさしを得る——宇宙のなかの地球 Introduction 第1章 ビッグバンに至る道——20世紀宇宙観の変遷 [阪上雅昭] 1 宇宙の拡がりを実感しよう 2 遠くの銀河、遠ざかる銀河 3 膨張宇宙の発見 4 ビッグバン宇宙 5 ハッブル・ルメートルの法則 6 視点の行き来を目指して 第2章 地球が地球になるまで——私たちが存在できる理由 [小木曽哲] 1 海を持つ惑星の誕生 2 陸の存在意義 3 初期の生命とプレートテクトニクス 4 生命進化と大陸 5 海水量の謎 6 私たちが存在できる理由 第3章 地球の営み——南極から眺める現在と過去 [石川尚人] 1 南極はどれほど寒いか 2 南極大陸 3 南極氷床 4 南極氷床から得られる氷期−間氷期変動の情報 第4章 宇宙と人の〈あいだ〉——交通論で考える [篠原資明] はじめに 交通とは 1 四つの交通様態 2 宇宙旅行の場合 3 空海の場合 4 西行と月 5 地中海の空 6 足穂と彗星 ColumnⅠ アインシュタインの相対性理論とエネルギー公式 [森成隆夫] 研究の原点(1) PART II 地球のなかの生命 Introduction 第5章 住み込み共生が育む海の生物多様性 [加藤 眞] 1 陸上生態系で進行した植物と昆虫の多様化 2 プランクトンとその濾過食者が卓越する海の生態系 3 住み込み共生 4 カイメンの共生者 5 ナマコの消化管に住む二枚貝 6 スツボサンゴをめぐる住み込み共生 7 内湾のサンゴ礁生態系 第6章 両生類から環境を測る [西川完途] 1 「中庸的」な動物、両生類 2 両生類の代表カエル 3 両生類の祖先の体型をしたサンショウウオ・イモリ 4 頭と胴だけのアシナシイモリ 5 環境の指標生物としての両生類 第7章 菌類研究はなぜ難しいのか [佐藤博俊] 1 ユニークな生物、菌類 2 菌類の数を把握するのは難しい 3 注目される菌類の多様化 4 菌類の多様化のメカニズムを探る 5 困難に立ち向かう 第8章 藻類 [宮下英明] 1 お刺身1切れ=藻類〇kg? 2 たった一度の偶然で 3 藻類から未来を考える 第9章 生物多様性はどう認識されてきたか ——微生物から見る生物進化の認識における変遷 [神川龍馬] 1 博物学から五界説まで 2 モネラと原生生物の崩壊 3 ミトコンドリアの多様性 第10章 スターチャイルド考 [木下千花] 1 はじめに 2 「誕生以前の生命のドラマ」 3 日本における受容 Column Ⅱ ゲノミクス時代におけるダーウィン進化論 [阪口翔太] 研究の原点② PART III 生命としての人類 Introduction 第11章 不確かな世界に生きる迷い方 ——自然知能に学ぶ、意思決定の在り様 [小村 豊] 1 意思決定と迷い 2 霊長類の意思決定を測る 3 意思決定と確信度のシミュレーション 4 確信度の脳内表現 5 自然・生命・知性の連なり 第12章 実験ネズミが食べ過ぎてしまう話 [林 達也] 1 分かっちゃいるけどやめられねぇ 2 飼養箱でネズミは食べ過ぎになる 3 飼養箱でネズミを運動させると 4 長寿のためには運動は要らない? 5 飼養箱に似てきた先進社会 6 実験動物を通じて人間を知る 7 動物実験の限界と人間の現実 8 だからみんなでホンダラダホイホイ 第13章 言語進化の謎に挑む [藤田 耕司] 1 生成文法・生物言語学の視点 2 人間言語の構造依存性 3 併合の運動制御起源仮説 4 認知考古学的考察 5 組み合わせる知性—進化的観点と平和学 第14章 意図的に子どもを作り出せる生物としての人間 ——TNR、反出生主義、『消滅世界』 [青山拓央] 1 子どもを作り出すという〈行為〉 2 猫のTNRとの比較 3 不確定性と非行為性 4 反出生主義を論じる前に 第15章 〈思考停止平和戦争国家〉でどう生きるか [小倉紀蔵] 1 「戦争メタファー」の韓国 2 「戦争メタファー」を嫌悪する日本 3 われわれは〈戦争〉をしている 4 ソフト・パワーからソフト・ウォーへ 5 日本型〈戦争〉の時代 6 思考停止する〈戦争〉国家 7 生の日本的苦しさ 8 バイオフリーダム(生自由)へ Column Ⅲ 健康の未来 [船曵康子] 研究の原点(3) PART IV 自明性を疑う 文明の歴史 Introduction 第16章 文字から文明社会を見る ——読み書きの現在と〈文字圏の衝突〉 [鵜飼大介] 1 読み書きという基礎的技能 2 読み書きの習熟はそれほど容易ではない 3 帝国的な社会と文字 4 宗教と文字の多様なつながり 5 近代世界における識字化・ラテン文字化と〈文字圏の衝突〉 第17章 大航海時代は文明史上どのような意味を持つのか [合田昌史] 1 大航海時代とはなにか 2 グローバル化の第一波 3 コロンブスの交換 4 近代世界システム 5 長篠合戦の世界史 6 「財政=軍事国家」論 7 宇宙大航海時代 8 「ステイタス」を求めて 9 「世界分割」と「世界布教」 第18章 グローバリゼーション時代の芸術作品 [武田宙也] 1 グローバリゼーション 2 根をめぐって 3 クレオール化と暴力 4 ラテンアメリカ、アフリカ、日本の事例から 5 グローバルな美術史記述へ 第19章 文明と科学あるいは技術 [戸田剛文] 1 概念の曖昧さ 2 科学と真理、科学と科学技術 3 現代における表現 4 人の善さ 5 文明の進歩と平和 6 傷の舐め合い 第20章 風景と文明0空間・時間・記憶の構造を見出す [中嶋節子] 1 はじめに 2 風景の発見 3 風景の客体化・装置化 4 媒体としての風景 土地と人間とをつなぐ 5 風景の喪失と回復/奪還 6 重層する風景とその不連続性 7 おわりに 見えない風景/実態のない風景の未来 Column Ⅳ ホロコーストを問いなおす [細見和之] 研究の原点(4) PART V 未来からふり返る 地球と人類の未来 Introduction 第21章 世代間正義の哲学0〈近代の内破〉という課題 [安部 浩] 1 世代間正義という難題 2 新しい社会契約とロールズの『正義論』の難点 3 仮想将来世代の制度と『正義論』との関係 4 仮想将来世代の制度化の過程 5 DP(格差の原理)の説明の一解釈 6 〈LP→FEO→DP〉なる順位の所以とロールズへの批判 7 近代の内破—自己責任概念の極大化による世代間責任の可能性 8 結語に代えて 第22章 《ガザ》から展望する世界と文明の未来 [岡 真理] 1 過ちは繰り返されなかったか 2 繰り返される悲劇 3 信仰の人種化 4 ダーバン宣言 5 これが人間か 6 私には夢がある 第23章 10億分の1の世界から見る人類の未来 [髙木紀明] 1 新しい研究分野 2 ナノテクノロジー・ナノサイエンスとは? 3 ナノテクノロジーの成果 4 現代文明のレベル評価 5 現代文明の発展と未来 第24章 身体運動から紐解く共生の未来0人類と地球、そして宇宙へ [萩生翔大] 1 膨大の数の筋が織りなすチームワーク 2 歩くためのカギは重力を知ること 3 宇宙で過ごすと歩けなくなる? 4 重力への適応から考える人類が共生し続ける未来 第25章 過去を振り返って未来を感じてしまった人類 [石村豊穂] はじめに 1 未来を描くために過去を知る 2 環境変動の要因—リズム・イベント・ゆらぎ 3 時間スケールと「未来」の定義 4 人類が感じる未来への期待と不安 5 地球の現状把握と2030年〜2100年の可視化 6 21世紀—世界の協働と混沌 7 未来の広がり 8 おわりに Column Ⅴ 地球環境の未来 [浅野耕太] 研究の原点(5) 座談会 新しい「平和学」をもとめて (2023年10月2日収録) 補 稿 座談会への追記 [細見和之] あとがき [細見和之] 索 引 執筆者一覧
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