寺院内外伝承差の原理~縁起通史の試みから~
中前 正志
著
発行年月 |
2021年03月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
9p,548p |
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大きさ |
22cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/宗教/仏教 |
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ISBN |
9784831877222 |
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商品コード |
1033192951 |
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NDC分類 |
185.916 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033192951 |
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著者紹介
中前 正志(著者):1960年神戸市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。花園大学専任講師を経て、現在、京都女子大学文学部教授。 著書に『神仏霊験譚の息吹き――身代わり説話を中心に――』(臨川書店、平成二十三年)、編書に『東山中世文学論纂』(私家版、平成二十六年)、など。
内容
寺院草創沿革の記録、すなわち寺院縁起は一つの寺院においても多様な内容を持つことが多い。
それらの寺院発の伝承が変遷することには一定の法則性があるのであろうか?
西国三十三所札所(穴太寺、成相寺、華厳寺、三室戸寺、清水寺)の開創期から近現代に至る各種の縁起を通史的に分析して史的展開を跡づけ、寺院発の伝承の変遷に法則性を読み取り、その原理を仮説として提示する。
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〔寺院内外伝承差の原理〕
【原理A】
寺院が管理あるいは発信する、開創縁起などの伝承について、同寺院の内部と外部との間での伝承内容に差異の生じることがあり、その発生事情としてはおよそ二通りの場合が考えられる。寺内にて行われている本伝とは異なる内容を持った異伝が寺外にて発生した場合と、従来行われていた旧伝とは異なる内容を持った新伝が寺内にて発生し、寺外においては引き続き旧伝が行われている場合とである。
【原理B】
右のようにして一旦生じた寺院内外伝承差が、すぐには解消されないまま、時代を超えて相当に長期間に亙って存続する場合がある。
【原理C】
発生事情の相違に関係なく、また長期間に亙って存続していてもいずれは、寺外で発生した異伝が寺内の本伝によって凌駕され、あるいは、寺外にて存続していた旧伝が寺内の新伝によって凌駕され、すなわち、いずれにせよ内部も外部も寺内の伝承によって統一されて、寺院内外伝承差は解消していく、もしくはそういう傾向を示すようになる。
(本文より)
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【本書の目次】
まえがき
第Ⅰ部 縁起通史の試み――古代から近現代まで――
序――縁起通史という俯瞰
〔試論A〕 揺らぐ檀那――丹波国穴太寺縁起通史――
付論a 丹波国穴太寺縁起と薬師――『一遍聖絵』巻八第一段が暗示するもの――
〔試論B〕 分岐する開山――丹後国成相寺縁起通史――
付論b 周防国二井寺観音霊験譚のその後
〔試論C〕 移りゆく願主――美濃国華厳寺縁起通史――
付論c 美濃国谷汲念仏池念仏橋関係資料逍遥
第Ⅱ部 寺院内外伝承差の原理――仮説の提示――
序――寺院内外伝承差の面影
〈補論A〉 観音発見者の収束――宇治三室戸寺縁起断章――
〈補論B〉 楊柳観音の波紋――洛東清水寺縁起断章――
〈補論C〉 草創の遡及――洛北鞍馬寺縁起断章――
【仮説提示】 寺院内外伝承差――原理への模索――
付録 明治二十九年刊『西国三十三所霊験画伝』――仏具としての縁起譚――
あとがき