著者紹介

内容

目次

はじめに 　　カルト問題とは何か　　 　　信教の自由とカルト批判　　 　　本書の構成　　 第I部　カルト論の構図 第一章　カルト論の射程 　一　終わらないカルト問題　　 　二　カルトとは何か　　 　　カルトの由来　　 　　カルト論の展開　　 　三　カルト論の諸相　　 　　レビューの対象と方法　　 　　ミクロレベルのカルト論　　 　　　入信論　　　洗脳／マインド・コントロール論争　　　脱会論　 　　メゾレベルのカルト論　　 　　　教団類型論としてのカルト　　　カルトの社会的構築論　 　　マクロレベルのカルト論　　 　　　カーゴ・カルトと再活性化運動　　　ハイパー宗教論と反カルト運動の文化論的解釈　 　　　反セクト法　 　四　カルト論の現代的射程　　 　　カルト論の構図　　 　　カルト論の新展開　　 　　カルト問題と公共圏の形成　　 第二章　カルト問題におけるフレーミングとナラティブ 　一　宗教調査の困難　　 　二　入信の理論と社会的フレーミング　　 　　宗教研究とカルト問題研究のあいだ　　 　　カルト論をめぐる争点　　 　　グレーゾーンにあるカルト問題　　 　　フレーミングとしての新宗教論とカルト論　　 　　行為の因果論と違法性の論拠　　 　三　ナラティブの構築性と社会的争点　　 　　入信・離脱に関わるナラティブの研究　　 　　ナラティブにおける創造性と被拘束性　　 　　性的虐待・悪魔崇拝・トラウマと記憶　　 　四　脱会カウンセリングと信教の自由　　 　　脱会カウンセリングとトラウマ　　 　　信教の自由と大学のカルト対応　　 　五　カルト問題研究者の当事者性　　 第三章　カルトと宗教のあいだ 　一　宗教と倫理　　 　　カルトと宗教はどう違うのか　　 　　宗教と倫理　　 　　宗教倫理とカルト問題　　 　二　カルト問題の社会的構築　　 　　宗教とカルトは分けられるのか　　 　　反カルト運動によるマインド・コントロール批判　　 　　カルト論争の着地点　　 　三　教会のカルト化　　 　　現代のキリスト教会批判　　 　　聖神中央教会　　 　　牧師によるセクシャル・ハラスメント　　 　　優良教会とカルト化する教会の連続面　　 　四　教勢拡大のための布教体制と信仰のあり方　　 　　布教戦略と組織の問題　　 　　教　化　力　　 　　組　織　力　　 　　指　導　力　　 　五　カルトと宗教を分かつもの　　 第II部　カルト問題の構築 第四章　マスメディアによるカルト、マインド・コントロール概念の構築 　一　マスメディアとカルト問題　　 　　マスメディアはカルト問題にどう対峙してきたか　　 　　宗教記事データベース　　 　二　カルトの用例　　 　　宗教研究におけるカルトの用例　　 　　カルトの用例の初出　　 　　オウム真理教はいつからカルトになったか　　 　　一九九〇年代の他教団に見るカルトの用例　　 　　二〇〇〇―一〇年のカルトの用例　　 　　ミイラ事件　　 　　疑似科学、治癒、ヒーリング　　 　　性暴力事件　　 　　そのほかのカルト問題　　 　三　マインド・コントロールの用例　　 　　マインド・コントロール論争　　 　　統一教会とマインド・コントロール　　 　　オウム真理教事件と裁判　　 　　一九九〇年代の他教団に見るマインド・コントロールの用例　　 　　二〇〇〇―一〇年のマインド・コントロールの用例　　 　四　ま　と　め　　 第五章　麻原判決とオウム真理教報道 　一　オウム真理教事件の報道　　 　二　東京地裁での麻原判決および弁護側書面の特徴と論点　　 　　二-一　共通点と派生的問題　　 　　世俗的説明と宗教的説明　　 　　恣意的犯行論が生む派生的問題　　 　　二-二　麻原弁論の論理　　 　　教祖御神輿論　　 　　ヴァジラヤーナの意味　　 　　教説と実践的信仰　　 　　弟子暴走説　　 　　二-三　判決に見る東京地裁の判断　　 　　信者と批判者の殺害　　 　　サリン事件　　 　　死刑判決　　 　　二-四　判決への評価　　 　三　麻原判決報道の特徴　　 　　三-一　新聞報道の特徴　　 　　三-二　雑誌特集の特徴　　 　　実　行　犯　　 　　死刑制度をめぐって　　 　　オウム真理教と日本社会　　 　　三-三　インターネット　　 　四　報道の嵐の後に　　 　　麻原裁判とメディア　　 　　オウム真理教が利用した情報社会　　 第III部　マインド・コントロール論争と裁判 第六章　「宗教被害」と人権・自己決定 　一　カルト問題と人権　　 　　宗教トラブル解決の指針　　 　　専門領域の再編　　 　二　マインド・コントロール論争における宗教的自己決定　　 　　マインド・コントロール論争　　 　　自己決定論　　 　　パターナリズム的介入　　 　三　霊感商法被害から違法伝道訴訟へ　　 　　統一教会　　 　　統一教会に対する訴訟　　 　　違法伝道という概念　　 　四　札幌地裁判決　　 　　原告元信者による論証　　 　　統一教会による反論　　 　　統一教会による勧誘の認定　　 　　違法な勧誘・教化の認定　　 　　目的の不当性を認定　　 　五　違法伝道訴訟の展開　　 　　各地の違法伝道訴訟　　 　　信仰の自由侵害回復訴訟判決　　 　六　宗教と公共性　　 　　信教の自由と公共圏　　 　　公共的論議としてのカルト問題　　 第七章　強制的説得と不法行為責任 　一　違法伝道批判とマインド・コントロール論　　 　　不法行為　　 　　詐欺とマインド・コントロール　　 　　札幌地裁判決とマインド・コントロール論争　　 　　本章の構成　　 　二　説得と統制の詐欺的・間接的技術に関する専門調査部会報告　　 　　レポート作成の経緯と内容概括　　 　　レポートに対するＡＰＡの態度、モルコとリール裁判、および法廷助言書　　 　　ＤＩＭＰＡＣレポートへの評価　　 　三　法廷助言書をどう読むか　　 　　三-一　法廷助言書の概要　　 　　三-二　法廷助言書への評価　　 　　全体への評価　　 　　臨床家のクライアント　　 　　教団調査における客観性　　 　　事実的因果関係と法的因果関係　　 　　布教・教化の適切性　　 　　信教の自由に対する配慮と義務　　 　四　臨床・実践の方法と認識の方法　　 　　学問の認識枠組み　　 　　市民的倫理観　　 第IV部　宗教研究がひらく公共性 第八章　宗教社会学とカルト問題研究 　一　宗教社会学の研究動向　　 　　戦後日本の宗教社会学　　 　　新宗教研究における解釈の問題　　 　　構築主義的な信仰理解　　 　二　真如苑調査におけるナラティブ研究の進展　　 　　二-一　真如苑と新宗教研究　　 　　真　如　苑　　 　　新宗教研究　　 　　二-二　精緻化された方法論　　 　　霊能を物語る　　 　　ミメーシス論とテキスト解釈　　 　　二-三　「霊能」をめぐる議論　　 　　霊能の脱構築　　 　　霊能者の属性　　 　　自己物語論、状況論、構造論のバランス　　 　　二-四　宗教的回心が生み出される場　　 　　真如苑の弁論大会　　 　　構築される回心の語り　　 　三　統一教会調査におけるトライアンギュレーション　　 　　統一教会の研究　　 　　『統一教会』における調査のトライアンギュレーション　　 　　現役信者と脱会信者の双方向から調べる　　 　　調査研究への反響　　 　四　研究の実践性　　 第九章　カルト問題と公共性 　一　本書第八章までの要約　　 　　問題意識　　 　　本書で明らかにしたこと　　 　二　現代社会における公共性　　 　　公共性を考える論点　　 　　カルト問題と公共性　　 　三　社会秩序と宗教　　 　　社会学と市民宗教論　　 　　公共宗教論　　 　　日本の公共宗教論　　 　四　カルト批判運動が参画する公共空間　　 　　社会運動としてのカルト批判　　 　　日本のカルト批判運動　　 　　カルト批判運動とマスメディア　　 　　カルト批判運動の課題　　 引用文献　　 あとがき　　 初出一覧　　 オウム真理教報道資料（二〇〇四年）　　 　I　麻原判決関連の新聞（全国紙）特集記事 　II　麻原判決関連の雑誌記事一覧 索　　引