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目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙

ジョージナ・クリーグ  著

中山ゆかり  翻訳
伊藤亜紗  他
在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 2週間  数量 冊 
価格 \2,200(税込)         

発行年月 2020年08月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 413p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/人文科学/哲学/概論・参考図書
ISBN 9784845919192
商品コード 1031922766
NDC分類 289.3
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2020年10月1週
書評掲載誌 朝日新聞 2020/09/26
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1031922766

著者紹介

ジョージナ・クリーグ(著者):[著]ジョージナ・クリーグ(Georgina Kleege)
カリフォルニア大学バークレー校の英語講師。専門は、クリエイティヴ・ライティングと障害学(ディスアビリティ・スタディーズ)。2003年、同校の英語学科におけるクリエイティヴ・ライティングのクラスに加え、障害者をめぐる文学表現および障害者自身による文献を研究するコースで教鞭をとる。
最初の著作である『Sight Unseen』(Yale University Press, 1999)は、盲人としてのクリーグ自身の自叙伝的な記述とともに、文学、映画、言語学における視覚障害に関わる描写について文化的な批評も含んだエッセイ集。障害学のみならず、視覚と関わる文化、教育、公衆衛生、心理学、哲学、眼科学を学ぶ学生の必読書とされる。
『Blind Rage: Letters to Helen Keller』(Gallaudet University Press, 2006)では、障害者の象徴として名高いヘレン・ケラーの生涯と遺産を描き出すためにフィクションとノンフィクションの境界を越える取り組みを行なった…
中山ゆかり(翻訳):[訳]中山ゆかり
翻訳家。慶應義塾大学法学部卒業。英国イースト・アングリア大学にて、美術・建築史学科大学院ディプロマを取得。訳書に、フィリップ・フック『印象派はこうして世界を征服した』、フローラ・フレイザー『ナポレオンの妹』、レニー・ソールズベリー/アリー・スジョ『偽りの来歴 20世紀最大の絵画詐欺事件』、サンディ・ネアン『美術品はなぜ盗まれるのか ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い』(以上、白水社)、デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(共訳、岩波書店)、ルース・バトラー『ロダン 天才のかたち』(共訳、白水社)、フィリップ・フック『サザビーズで朝食を』『ならず者たちのギャラリー』、マーク・エヴァニア『ジャック・カービー アメコミの“キング”と呼ばれた男』(以上、フィルムアート社)など。

内容

「どうしてヘレン・ケラーのようにできないの?」

常にヘレン・ケラーと比較され育った視覚障害をもつ著者が、「奇跡の人」という偶像へ、怒りと異議申し立ての手紙をつづり、架空の対話を試みる!

「偉人」ではない、一人の盲目の女性としてのヘレンの姿を鮮やかによみがえらせ、抑圧から魂を解き放つ、和解と再生の創造的ノンフィクション。


親愛なるヘレン・ケラー、
あなたは本当のことを語っていますか?

ヘレン・ケラーについてのあらゆる本、インタビュー、記事、その他の資料にあたってヘレンの実人生を研究しつくしてきた著者が、ときに視覚障害当事者としての自らの思いと重ね合わせながら、ヘレン・ケラーの人生の様々な局面をたどり直していく。これまで公に考えられてこなかった一人の女性としてのヘレンの喜び、苦しみ、悩み、挫折、野心やさらにはある「疑惑」や性の問題、秘めた恋愛、恩師サリヴァン先生との関係性などセンセーショナルな側面、そして誰もが避け得ない喪失と老いと死について……ヘレンと著者の二人の道行きとその果てに見た光景とは。苛烈で痛快、魂ゆさぶる再生の物語。

特別解説:伊藤亜紗 (東京工業大学科学技術創成研究院 未来の人類研究センター准教授)
「怒りから、そして愛へ。これほどまでに激しく、かつ綿密に練られた本が、他にあるだろうか。それは単に美しいだけではなくて、私たちの目を覚ます重要な指摘を含んでいる。」

 私がこの本を書いたのは、ヘレン・ケラーという名の、私個人にとっての悪霊を追い払うためだ。ほとんどの人々が、不幸に直面した人間のもつ不屈の精神の象徴としてヘレン・ケラーを崇拝している。でも、私にとっての彼女は常に、私が見習うことを望みえなかった存在を意味していた。(中略)子どもの頃以来、彼女の名を始終引き合いに出されてきたが、それは自分がどれほど恵まれているかをありがたく思うべきだということを私に思い出させるためだった。そのせいで私は彼女に腹を立てていたし、彼女の生涯、とりわけ学校の教科書や『奇跡の人』のような人気の娯楽作品で目にするその生涯の説明は、真実としてはあまりにも話がうますぎると疑っていた。
 大人になってから、私は彼女の物語をもっと網羅的に研究し始めた。彼女自身が自叙伝的に書いた著作も、また彼女について刊行された多くの伝記も読んだ。多くの出来事や人間関係が、これまで私がずっと信じ込まされてきたものとは食い違って見えることがわかった。だが、そこにはまた何か失われているものもあった。それはまるで、彼女が自らを人々に感動を与える象徴的な存在だと考えており、そしてその象徴であるための必要性ゆえに、自身のいかなる怒りも恐れも、あるいは悲しみも、決して表に出せなかったかのようだった。彼女のような経験をすれば、どんな人であっても、こうした感情を抱いたであろうときでさえもそうだった。…

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