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お伽噺「桃太郎」はなぜ生まれたのか
宮川禎一
著
発行年月 |
2025年06月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
383p |
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大きさ |
19cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/文学/民話・伝説 |
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ISBN |
9784866241173 |
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商品コード |
1040412516 |
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NDC分類 |
388.1 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2025年07月4週 |
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書評掲載誌 |
日本経済新聞 2025/08/09 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1040412516 |
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著者紹介
宮川禎一(著者):一九五九年、大分県宇佐市生まれ。元京都国立博物館特任研究員。一九八六年に京都大学大学院文学研究科修士修了。考古学専攻。財団法人辰馬考古資料館学芸員を経て、一九九五年に京都国立博物館考古室技官。二〇二〇年からは同館の特任研究員、二〇二五年に退職。専門は東アジアの考古学。統一新羅時代の陶質土器の研究。東南アジアの銅鼓の研究。平安時代の経塚遺物の研究。あわせて坂本龍馬を含む幕末史の研究など。主要論文は「新羅印花文陶器変遷の画期」(『古文化談叢』第20集〈中〉、一九八九年)、「施文技術からみた西盟型銅鼓の新古」(『学叢』第22号、二〇〇〇年)など。
著書に『日本の美術407号「陶質土器と須恵器」』(至文堂)、『龍馬を読む愉しさ│再発見の書簡が語るもの』(臨川選書23)、『全書簡現代語訳 坂本龍馬からの手紙』、『「霧島山登山図」は龍馬の絵か?』(以上、教育評論社)、『鳥獣戯画のヒミツ』(淡交社)など。
京都国立博物館の特別展覧会『龍馬の翔けた時代』展(二〇〇五年)、特別展覧会『藤原道長』展(二〇〇七年)、特別展覧会『没後150年 坂本龍馬』展(二〇一六年)の企画および図録の編集。
内容
なぜ桃から生まれたのか。
なぜ川上から流れてきたのか。
なぜ犬・猿・雉がお供したのか。
知れば知るほどおもしろい 桃太郎研究の新展開。
検証の果てに見えてきた「日本昔話のふるさと」とは――。
日本神話や中世の御伽草子を元にしたと考えられることの多い「桃太郎」の物語だが、現在の形になったのは意外にも江戸時代の前半だ。誰もが知る「ももたろう」のお話はどのようにして生まれたのか、その起源に迫る。
本書「はじめに ―川上から桃の実が流れてきて―」より
歌人の正岡子規が明治三十一年に桃太郎に関する連作短歌を作っています。その最初は
大いなる 桃の實流れ 來しといふ 昔ばなしの 春の川水
子規らしいのどかな詠調です。桃太郎は子供の頃から読書が大好きであった少年正岡昇(子規)も読んだ童話です。この短歌にはそんな懐旧の情が込められています。
これから日本昔話の代表であり、誰もが知っている「桃太郎」について書いてみたいと思います。幼児子ども向けの童話の一番目です。研究史を少し調べてみれば、江戸時代の後期以降には桃太郎に関する数多くの考察も存在していました。
いつの時代の研究者も「なぜ川上から流れてきた桃の中から生まれたのだろう? 桃太郎にモデルがいるのだろうか? 古代の日本神話がもとだとされるけど本当か? 岡山県に関係あるとかいうから岡山県民? 鬼の正体とは何だろう? なぜきび団子と引き換えに犬・猿・雉がお供になったのだろう? 鬼ヶ島はどこにあったの?」などなど短いのに不思議に思うことがいっぱいです。また江戸時代、十八世紀の初め頃には成立していた「桃太郎の基本的なお話」に刺激を受けてさまざまな物語が作られました。二次創作です。桃太郎の前日譚や後日譚(譚とはお話という意味です)、浄瑠璃や戯作本(小説)や芝居などが作られています。さらに近・現代には桃太郎にまつわる伝承地や史跡が日本のあちこちに整備されて来ました。このように日本人と日本文化に多大な影響を与えたほどに「短いけれども、きわめて魅力的なお話」です。
本書は「桃太郎のモデルは天竺へ仏典を取りに行った三蔵法師玄奘ではないか」というわたしの小さなアイデアからはじまったものです。
その論証の過程は、山東京伝や曲亭馬琴や柳田國男や石田英一郎や滑川通夫や中野美代子のような先達・大先生方の考察の跡をたどったうえで、それを乗り越えようとするものでしたから、その意味では砂嵐のタクラマカン砂漠をわたり、雪のヒマラヤ山脈を越え、さらには妖怪変化どもと戦いながら(?)、という三蔵法師玄奘の天竺への旅にも似ていたかも知れません。