内容
文化財と「環境」といえば、第一に温度や湿度などの大気環境が上げられるだろう。博物館や美術館内の管理された環境にある文化財はむしろ少なく、大半はオープンエアーの環境に曝されているのが現状からみても当然である。しかし、文化財をめぐる「環境」を考えるにはこれだけにとどまらない広範な視野が必要となる。例えば現代の都市空間に「歴史遺産」を残していくための周辺整備や文化財を保存・修復するために必要な伝統的技術を支える人的・物的な支援体制、あるいは、地震、火事などの自然災害への対応など、たいへん多岐にわたる「環境」との「共生」を想定しなくてはならない。(以下本文へ)