内容
本書の目的は、ERM経営を構築のための方法論をひもとくことではなく、個別保険会社が保険という事業構造の特性と自社の契約ポートフォリオの特徴等を踏まえて、何を守るべきかを確認し、保険会社が最適な意思決定にいたるべく、いかなる努力をおこなってきたかという道筋を確認することにある。その道筋を一覧的かつ体系的にまとめることが、今後進むべき道が明らかになる。 いかなるERMも事業構造の特質を踏まえたビジネスモデルから始まるべきであり、企業が何を守って何を捨てるのかということから出発する。したがってERM経営は、企業の数だけ存在するものであり、典型的なERM経営というものが存在するわけではない。またそれを形式だけ導入しても意味がない。 以上のようなことから、本書は保険経営の意思決定に何らかのかたちで関わる方々ばかりでなく、他の金融機関および事業会社でERM経営の構築のために奮闘されている諸兄や、経営戦略としてのERM経営に関心をもっておられる方々にとっても一読の価値がある。