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カズオ・イシグロ、沈黙の文学
原 英一
著
発行年月 |
2024年05月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
293p,8p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/文学/イギリス文学 |
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ISBN |
9784911068014 |
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商品コード |
1038301715 |
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NDC分類 |
930.278 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2024年06月4週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1038301715 |
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著者紹介
原 英一(著者):東北大学名誉教授。1948年生。東北大学大学院文学研究科修士課程修了、同博士課程中退。主な職歴:東北大学教養部助教授、東北学院大学文学部教授、東北大学大学院文学研究科教授、東京女子大学現代教養学部教授。専門はイギリス小説およびイギリス演劇。主な研究業績:“Stories Present and Absent in Great Expectations”, ELH, Vol. 53, Number 3、『〈徒弟〉たちのイギリス文学——小説はいかに誕生したか』(単著、岩波書店)、『ディケンズ鑑賞大事典』(共編著、南雲堂)、『ゴルディオスの絆——結婚のディスコースとイギリス・ルネサンス演劇』(共編著、松柏社)、Enlightened Groves: Essays in Honour of Professor Zenzo Suzuki(共編著、松柏社)など。
内容
カズオ・イシグロの語りながら語らない、沈黙の文学は何を「語って」いるのか。本書は、『幽かなる丘の眺め』(1983)から『クララとお日さま』(2021)に至る全長編8篇を曲亭馬琴の「省筆」をキーワードとして読み解こうとする試みである。馬琴は『南総里見八犬伝』中の「稗史七則」で、「偸聞(たちぎき)させて筆を省く」という「省筆」の手法を述べた。イシグロの小説では「偸聞」の語りが頻出する。読者は「信頼できない語り手」の語りを偸聞する過程で、語られていない巨大な何ものかとの対峙を迫られる。晩年のデリダは、バルト、ド・マン、フーコーら、二十世紀の知の巨人たち、さらにマルクス主義という巨大な思想を振り返って、フロイト的「喪の作業」を実践することに執念を燃やしていた。イシグロは、知の巨人たちではなく、歴史の暴風に巻き込まれ、非業の死を迎えなければならなかった幾千万の名もなき死者たちへの、それぞれにかけがえのない人生の記憶を持った死者たちへの鎮魂歌を、愛惜の念を持って、書き続けている。彼の作品の全体が、戦争と強制収容所の世紀、「長い20世紀」を埋葬しようとするフロイト/デリダ的「喪の作業」であり、「喪の物語」というマクロ・ナラティヴを構築する。