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骨折の臨床 全面改訂3版

村地 俊二, 三浦 隆行, 三浦 隆行  著

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価格 \28,600(税込)         

発行年月 1996年04月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 639p
大きさ 27
ジャンル 和書
ISBN 9784498054189
商品コード 0196116802
NDC分類 494.74
基本件名 骨折
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=0196116802

内容

3版の序 人体の姿勢・運動器官の支柱は骨組織である。「骨折」はその組織結合中絶であるが、この現象は人類の創生以来、そして洋の東西を問わず、時代に関せず、日常生活の周辺に絶え間なく発生し、それに対する治療と対策は、医学・医療、とくに外科・整形外科領域の最も重要な対象の一つとして講究されて来た。私が本書の端緒とも言える「骨折-その診療の実際」なる小著を上梓したのは昭和39年、1964年であった。思えばそれからすでに32年の歳月が流れたことになる。その後、故坂野克彦先生をはじめ、同門の後輩たる整形外科医の支援と協力により新版「骨折の臨床」を1980年に出版したが、それにも16年の歳月を要した。そしてその改訂2版が出版された1987年後でも早くも10年近くをたとうとしている。こうして10年、20年、30年がとぶように過ぎ去ったが、種々の骨折の発生は増すとも減りはしないし、その治療の原則は変わることなく引き継がれて来た。しかし、自然科学の進歩に伴い、診断や治療器材の開発、治療手技の改善、リハビリテーションシステムの整備等も目を見張る発達を遂げて来た。そこで本骨折書の内容も、その進展に応じて記述をあらため、表現を新たにして改版することが内外から要望されて来たのである。私自身はすでに整形外科臨床の第一線を退いて年久しいので、このたびの3版は想を新たにし、名古屋大学整形外科教室の前教授であった三浦隆行名誉教授に、執筆者としてのみならず編集者をもお願いし、その後一層の経験と研鑽を積んだ旧版執筆者にさらに気鋭の整形外科医を加えて強力な執筆陣の充実をはかり、本書の編集をすることができた。とくにcommon fractureといわれる臨床上重要な骨折の診療については、きわめて詳細に、懇切丁寧に記述されていると考えている。元より骨折の治療に関しては、数限りない術式、実技があり、術者により見解や好みは異なると思うが、しかし本書には現代における骨折の診療の本流が示されていると信じている。本書を、骨折ならびに骨関節損傷の臨床に携わる外傷医の身近の友にして頂ければ編者の喜びと幸せこれに過ぐるものはない。本書の刊行に絶大なるご支援を賜った名古屋大学整形外科教室関連病院、出版を引き受けられた中外医学社に深甚な感謝を捧げたい。1996年2月村地俊二初版の序 「整形外科の本領はDeformitat(変形)を追究し、治療することにあり」と、たえず訓された名倉重雄教授の指導を受けた私は、その名倉院長の主宰された東京厚生年金病院整形外科における8年間、いわゆる整形外科的変形の診療よりもむしろ新鮮外傷の治療にたずさわることが遥かに多かった。第1線診療の現場にあっては各種の「骨折」を主とする外傷の臨床経験と修練を重ねることができた。その実地の体験を「経」とし、その後名古屋大学整形外科教室に転じて勉強した基礎的検討や調査を「緯」として、前著「骨折-その診療の実際」を上梓したのが1964年初めであった。それから早くも15年、さらに前著が絶版になってからも既に久しい。それ以後、骨折を主とする外傷学の進歩、治療技術の発展も瞠目すべきものが少なくない。私の前著の内容も大幅の改訂、増補を必要とするものであったが、その後の大学紛争や、私自らの身分の変化等によって改版もしくは新版の刊行は容易に実現できなかった。しかるに名古屋大学整形外科教室の愛する後輩であり、私の世話によって西ドイツに渡り、Tubingen労災病院で3年間の診療体験を得て帰国した「坂野克彦」君という青年医師の目覚ましい活動は、この「骨折書」の刊行を一挙に促進する原動力となった。名古屋掖済会病院に勤務する坂野医長は、日夜をわかたず来院する骨折患者に対しHEIPERTZ(現フランクフルト大学整形外科主任教授)、WELLER両博士の指導下に獲得した卓越した診療技術を駆使して的確な治療を実施し、そのすぐれた成績を度々各種学会で報告発表した。彼の医療への烈々たる熱情、満々たる自信、一徹な性格は、時として教室や学会を批判し、反撥し、その真実を理解されずして物議を醸すこともあった。しかし彼の実力とその業績は次第に専門領域の人々の承認と共鳴と評価を得るに至り、彼の声価は漸く高まりつつあった。坂野医長は、私にかの前著「骨折」の全面的改訂を熱心に慫慂してくれた。既に外傷診療の前線から退いた私は、私自身の手による全面的改訂には躊躇していたが、彼は「では私との共著で新しい骨折書を作りましょう」と申し出て、その構想や企画をも説き続けた。そして私が漸く彼との共著に同意するや、彼は精力的に資料を集め文献を整え、執筆の準備を進めた。やがて日ならずして「総論」の準備ができて草案に着手するや、彼はしばしば夜遅く拙宅を訪れ、打合せや検討を重ねるのであった。しかるに何たる災禍、何たる悲運であったろうか、心身の健康を誇った坂野医長は惣焉とこの世を去ったのである。悪夢の1975年6月28日であった。坂野君の突然の死により、私は共同作業の相棒を失い、執筆の意気も沮喪し、もはやこの企画は断念せざるを得ぬかに見えた。ところが約1年後、坂野医長の薫陶を受けた名古屋掖済会病院整形外科の若手医師は、「坂野先生の遺志を継いで、何としてもこの骨折書は完成しましょう。私達は全面的にその作業に協力し頑張ります」と私を激励し勇気づけてくれた。服部順和、伊藤晴夫、石田義人、横江清司の諸君であった。1976年の夏以来、私たちは再び執筆企画を練り直し、杉浦保夫(現名古屋大学整形外科助教授)、森健躬(現東京厚生年金整形外科部長)、木野義武(現名古屋掖済会病院整形外科医長)の諸君の協力をも得て草案執筆の分担、資料収集を精力的に推進した。その執筆項目と分担者は別表の通りである。新しい本書の内容は前著と変りない部分も少なくないが、特に手術的療法については全く面目を一新している。そこには今は亡き坂野君が、骨折治療の技術や運用の体系について堂々と積み重ねた創意や工夫や苦悩の跡が読み取れる。彼の厳しい叱咤鞭撻を受けて成長した若い整形外科医が医長の志をその筆を通して具現したといってもよい。かくして4年の歳月をかけた本骨折書はまさに完成しようとしている。いわばこの書は坂野医長に捧げる鎮魂の碑であり、短くも光彩ありし彼の生涯を偲ぶ慰霊の塔でもある。前著もそうであったが、私を取り巻く幾多の整形外科医が、力弱き私を励まし、私を支えてその刊行を実現してくれた。今回も坂野君を愛し、敬した若い学徒が中心となって、この書を再び完成してくれたのである。限りない感謝の念をもって私は自ら幸福をしみじみと噛みしめながら、坂野克彦先生のとわの眠りの安らかなれとひたすら祈るものである。なお本書の刊行にさいしていくつかのユニークな挿図を描いて頂いた篠田達明先生(愛知県心身障害者コロニー)、ならびに本書の出版をお引受けいただいた中外医学社青木三千雄社長はじめ社の皆さんに心からの感謝を捧げるものである。1979年11月 愛知県心身障害者コロニー中央病院にて村地俊二

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