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【文献復刻集成 ヴィクトリア時代の湖水地方案内 6文献・合本5巻+和文解説】

Lake District Tours, 1842-1902 (ES 5-vol. set) hardcover 5 Vols., 2016 p. 14

Nakajima, Toshiro  編
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価格 \138,240(税込)         

発行年月 2014年05月
出版社/提供元
出版国 日本
言語 英語
媒体 冊子
装丁 hardcover
ページ数/巻数 5 Vols., 2016 p.
ジャンル 洋書/人文科学/文学/イギリス文学
ISBN 9784902454734
商品コード 1011822804
国件名 イギリス
本の性格 学術書
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1011822804

内容

英国湖水地方はイングランド北西部のウェストマランド、カンバーランドに位置し、氷河湖、小川、滝、ヒースの茂る湿原や牧草地、岩が切り立った山々などの美しく変化に富んだ風景によって訪れる人々を魅了してきました。まさに湖水地方は「イングランドでもっとも愛された庭園」(ルイ・カザミアン)であると言えよう。とくに19世紀初頭にワーズワース、コールリッジ、サウジーなど一群の詩人が移り住み、湖水派詩人と呼称されて数々の名詩を生み出したことでも広く知られます。ヴィクトリア時代に至ると湖水地方は、英国の文化・時代精神そのものを映す鏡とされ、質の高い旅行ガイドが多く出版され、イギリス史、文芸のみならず、社会史、ツーリズムの文化史、鉄道、ジャーナリズム、自然環境保護運動の研究にも重要な視座を与えています。
本文献集は、この時代に刊行されたガイドブック群から精選するもので、コリングウッド、フォード、マーティノー、リントンによって著された代表的なガイドブック5点と、1865年に刊行された貴重なブラック社ピクチャレスク・ガイド1点を収録します。

推薦のことば
中島俊郎(甲南大学教授)

ヴィクトリア朝の湖水地方は、美意識以上に、文化・時代精神そのものを映す鏡になっていた。キーワードとして「ツーリズム、文学精神、自然保護」をあげれば湖水地方の像はより明確となるであろう。
1700年代に「発見」され美的対象となった湖水地方は、ヴィクトリア朝時代にはまったく異なる様相を呈しはじめていた。先ずあげられるのはツーリズムの台頭である。ヴィクトリア朝末期には年間50万人もの観光客が押し寄せる一大リゾート地へと変貌をとげた。ケンダル=ウィンダーミア間に鉄道が敷設されたとき、警世家ジョン・ラスキンは、グラスミア湖周辺がメリーゴーランドになってしまうであろうと観光化に対して非難の声を早くからあげていた。
湖水地方がツーリズムの波に洗われていた一方で、湖の周辺に居を構える富裕層のエリートたちが現れた。そのような人々のなかにケジィック付近のダヴェント湖畔に住居を構えたルパート・ポッターがいた。ヒースにおおわれたスキドー丘陵で赤リスと遊んだ娘ベアトリックスが、1895年に創立されるナショナル・トラストの有力メンバーとなったのは、ある意味で自然な帰結であろう。
ワーズワースなどのロマン派の詩人たちは、湖水地方の風景が詩的源泉になり、かつ精神的な治癒力になることを喝破していた。湖水地方はさらに文学的感性の涵養の地となっていくのだが、それには「湖水地方保護協会」などの地道で着実な活動があって初めて、「偉大な自然の大聖堂」となりえたというべきであろう。
ヴィクトリア朝に発行された湖水地方のガイドブックには単なる観光案内の域を超えて、「開発と自然保護」「ツーリズムと環境保全」などの同時代に生起し今日においてもなお論争の的になっている諸問題がきわめて先鋭的にとらえられているのである。ワーズワースは環境がもつ精神性を重視したが、その詩的影響力が頂点をきわめたのは、他ならないヴィクトリア朝時代であった。

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