内容
〈生の哲学〉の到達点 「存在しているのは、ただ単に、われわれの内的生命活動の連続するメロディーだけなのです…」 持続をメロディーに喩え、不動に基づく哲学体系に対して変化と創造による〈生の哲学〉を奏でつづけたベルクソン最後の著作であり、前回配本の『精神のエネルギー』の姉妹編ともいえる本書は、新たに書き下ろされた「序論」、肉声を伝えるいくつかの講演記録、加えてテーマを絞った小論文から構成される。 「序論」第一部・第二部は、それぞれ哲学者の知的自叙伝、自らの方法論の解説であり、併せて絶好の〈ベルクソン哲学入門〉となっている。 本文は「哲学に欠けているもの、それは精確さである」という一文で始まる。〈精確さ〉とは、〈1+1=2〉のような事態を想像するかもしれないが、ベルクソンの目には、そのような法則に支配される世界は死んでいると映る。彼はあくまで〈生きているとはどういうことか〉を考え抜き、その答えを〈持続〉に求め、それに至る方法を〈直観〉に求めた。 〈可能的なものと現実的なもの〉、〈哲学的直観〉、〈変化の知覚〉、〈形而上学入門〉他の諸編が〈精確さ〉の意味を、さらに明らかにするであろう。