トマ・ピケティは、時間軸上でいかに経済的不平等が変化していくかを解釈する際に必要となる、概念的かつ事実に基づく背景を紹介するために本書を著しました。この簡潔な文章はフランスにおいて学生や一般読者にとって必要不可欠なガイドとしての地位を確立し、しかも定期的に更新され、改訂されています。Arthur Goldhammerによって翻訳された本書は初めて英語版として発表されます。
　ピケティは初めにいかに不平等が複雑な様相を呈し、それをいかに経済学者が計測するかについて説明を加えています。収入と資本の所有がどれほど統計的に分散しているかということと、その差異を縮減するために利用される様々な政策を探究しています。それらをたどることにより、明確で正確な記述で、労働と資本の関係性、租税制度の違いがもたらす影響、「歴史上」の時間と「政治的」な時間の区別、教育と技術変化の影響、資本市場の性質、労働組合の役割、そして効率性の追求と公平性の追求の間に現出する緊張関係について主要な考え方を紹介しています。
　簡明で理解しやすく権威ある本書は、現代の経済学と政治学において最も緊急性の高い懸念事項について、基礎から理解することを望む読者にとって学習の第一歩として最適な1冊です。